2008年11月のサッカー

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  1. 11/01   清水0-2大分 (ナビスコ杯・決勝)
  2. 11/02 △ 鹿島2-2国士舘大学(PK3-0) (天皇杯・4回戦)
  3. 11/13 ○ 日本3-1シリア
  4. 11/19 ○ カタール0-3日本 (W杯・最終予選)
  5. 11/23 ○ 大分0-1鹿島 (J1・第32節)
  6. 11/29 ○ 鹿島1-0磐田 (J1・第33節)

清水0-2大分

ナビスコカップ・決勝/2008年11月1日(土)/国立競技場/フジテレビ

 なんとなく地味な対戦カードとなった今年のナビスコカップ決勝。どちらを応援しているでもない身としては、いまいち盛りあがりに欠ける組み合せだったけれども、それでも気持ちのいい秋晴れの青空の下、遠路はるばる足を運んだ両チームのサポーターで国立のスタンドがぎっしり埋まっているのをみると、たまにはこういう決勝戦も悪くないかなと思う。
 この両チーム、ともに北京五輪世代の選手が攻守の要として活躍している点で似通っている。清水は山本海人、青山直宏、枝村、岡崎。あと本田拓也もいるけれど、この試合では出場機会がなかった。対する大分は西川(この試合は怪我のため欠場)、森重、金崎夢生、そして途中出場のデカモリシ。また、長谷川健太とシャムスカの両監督が、ともに65年9月の生まれで43歳という若い者どうしという点も同じ。僕としては自分と年がひとつしか違わない監督どうしが、オリンピック世代の若者たちを率いて戦っているという図式には、なかなか刺激されるものがあった。
 試合はといえば、ここまでJ1最小失点でリーグ3位という堂々たる成績を残している大分が、その持ち味を十二分に発揮して、清水の攻撃力を封じ込め、九州勢としては初のタイトルを獲得してみせた。
 MVPは先制ゴールを決めた高松だったけれども、僕ならば、2得点の両方をアシストした金崎にあげる。この前、代表で見たときの彼は、積極的なドリブル突破やミドルシュートが印象的だったけれども、この試合では、高松のヘッドにあわせる右サイドからの見事なクロスや、ウェズレイにGKとの一対一のチャンスを演出するスルーパスなど、パスセンスにも非凡なものをみせていた(それぞれのチャンスを決めたふたりのFWもさすがだった)。まだ線は細いけれど、身長も180あるというし、いや、この子は本当にすごいんじゃないだろうか。今後、どこまで伸びるか、とても楽しみだ。
(Nov 02, 2008)

鹿島アントラーズ2-2国士舘大学(PK3-0)

天皇杯・第4回戦/2008年11月2日(土)/カシマスタジアム/BS1

 アントラーズ、天皇杯初登場で、なんと大学生と引き分ける。
 北京五輪の最終予選時に大学生だった長友や本田拓也が、J1のチームに入団してすぐレギュラーを獲得してることを考えても、最近は大学生のレベルも高いようだから、そうそう楽な試合はさせてもらえないだろうとは思っていたけれども、いや、それにしてもまさかPK戦にまでもつれこむとは……。去年もJFLのホンダ相手に延長戦を戦っているけれど、あのときは延長でなんとか勝っている。それが今年は大学生相手にPK戦というていたらく。まったく、なんてこった。こんなにストレスを感じた試合はひさしぶりだった。
 しかも、この試合のスタメンは、曽ヶ端、内田、岩政、伊野波、新井場、青木、中後、マルシーニョ、ダニーロ、興梠、マルキーニョスという顔ぶれで、つまり本山が腰痛で欠場したことをのぞけば、リーグ戦と同じベスト・メンバーだ。そのくせ大学生に押されまくって2失点も許すってのは、前年度王者としてあるまじき醜態だろう。なにより、このあいだのFC東京戦での3失点といい、リーグ終盤のこの時期になって、ディフェンス面で安定感を欠きまくっているのは、いったいなんなんだろうか。いやんなってしまう。
 内容にしても、1点目は、相手の豪快なミドルシュートが素晴らしかったのは確かだけれど、それにしたってゴールから遠かったせいで油断していたのがありありだったし、ミスからカウンターを許した2点目なんて、悲惨なほどに守備陣形が混乱していた。前日、大分が鉄壁の守りでナビスコ杯を制するのを見たあとだけに、この守乱ぶりは情けなくて仕方ない。こちらの得点はセットプレーとPKだけだし……(決めたのはダニーロとマルキーニョス)。
 なにより情けなかったのは、プロの意地を見せて、なにがなんでも勝ってやるという気迫が感じられなかったこと。2-2で残り10分という時間帯に、大学生に攻め込まれていたのを観たときには、本気で腹が立った。あと、延長も残りわずかだというのに野沢が横パスを出していたり(前を向け!)、田代がヘディングを外したあとで苦笑いしているのを観たときも。なんなんだろう、あの覇気のなさは。本気で大学生相手に負けてられるかと思ったならば、あの時間帯に横パスを出したり、笑ったりできるはずがないだろう。
 僕はこの日のマルシーニョのスタメンは疑問だった。現状の彼と比べれば、野沢のほうが力は上だと思うからだ。でも、この試合で途中出場した野沢のプレーを見てしまうと、やはり彼をスタメンで使わないオリヴェイラさんの気持ちもわかる気がしてしまう。いまの野沢は攻撃での積極性、守備での運動量ともに足りなさすぎる。これは田代も同じく。このふたりには期待している分、そのプレーを観たときの失望も大きい。
 そうそう、あと伊野波も。オリヴェイラ氏は延長戦のあたまから、新井場を増田に代えて、伊野波を左サイドへとコンバートしていたけれど(代わりにCBには青木が入った)、あれなんかは、やはり伊野波の守備力への信頼のなさの表れだろう。実際、大学生がすっかり疲れ切っていたせいもあるのかもしれないけれど、青木が真ん中に入ってからのほうが、チームとしては安定感があった。どうにも伊野波のCBは信頼できない感がある。個人的にはJ1の残り4節は大岩をスタメンに復帰させたほうがいいんじゃないかと思っている。
 この試合での唯一の救いはPK戦を3本連続で止めて、チームに勝利をもたらした曽ヶ端のプレー。相手のGKが試合中とても当たっていたので、PK戦は不安だったのだけれど、曽ヶ端はまさに守護神という言葉にふさわしい活躍で、チームを五回戦へと導いてくれた。あのPKにだけは、これぞプロという意地が感じられた。あっぱれ。
 それにしても、PK戦のときに国士舘大のキッカーに対してブーイングを浴びせていた鹿島サポーターの姿勢はいかがなものかと思う。ご贔屓のチームを勝たせたいという気持ちはわかるけれど、相手はアマチュアなのだし、プロ相手にあれだけ素晴らしい試合をしてみせたのだから、エールのひとつでも贈ってみせる余裕があっていいんじゃないだろうか。それを逆にブーイングを浴びせるなんて、大人げないというか、なんというか……。最初のキッカーの子が苦笑いしていたのも当然だ。そもそも、こんなひどい内容の場合ならば、逆に味方にブーイングを浴びせるくらいであっていいと思う。どうにも鹿島サポーターは狂信的で、まわりが見えていないイメージがあって馴染めない(※1)。
 なにはともあれ、大学生をPK戦で下し、どうにか5回戦への進出を決めたアントラーズだったけれど、いまの調子じゃ先行きは不透明。今年の天皇杯での戦いを観られるのは、これが最初で最後なんてことになりませんように。
(Nov 02, 2008)

(※追記)鹿島サポーターがPK戦のときにブーイングをしてたことにケチをつけてしまったけれど、試合後にはちゃんと大学生たちに拍手とエールをおくっていたそうなので、あのブーイングはもしかしたら不甲斐ない戦いをしたアントラーズに対するものだったのかもしれない……って、あのタイミングでそれはないか。いずれにせよ、鹿島サポーターにもきちんと相手の健闘をたたえる姿勢があるとわかってよかった。
 それにしても、結局この試合が今回の天皇杯で僕が観たアントラーズの最後の試合になろうとは……。

日本3-1シリア

2008年11月13日(木)/ホームズスタジアム神戸

 前日の朝日新聞の朝刊には、日本代表があたり前のように公式戦の直前に親善試合を行うことに疑問を呈するコラムが載っていた。ヨーロッパなんかだと、そういうことはないのだそうだ。まあ、強豪国ならば、予選自体がそのまま本戦に向けた調整になるのだろうから、なにも忙しい選手らに無理をさせて余計な試合をする必要はないのかもしれない。でも日本はまだまだ経験不足なんだから、少しでも場数を踏む意味で、より多くの試合があった方がいいんじゃないか──基本的に僕はそう思っている。
 だけれど、この試合なんかを観ると、本当にこういう試合が必要なのかなと、ちょっと疑問に思えてきてしまう。
 この試合、前日にACLの決勝に出場していたガンバの遠藤や安田は当然のごとく出場していない。海外組も招集されていない。けれど来週のカタールとの最終予選で、遠藤、俊輔、松井、長谷部の4人がピッチに立つのは、ほぼまちがいないだろう。つまりスタメンのうち、3分の1以上の選手が入れ替わることになる。
 そうなるともう、本番に向けて連係を高めるというような話にはならない。このごろは顔ぶれもかなり固定的になってきているから、いまさら選考という感じでもないし、そうなると、あとは個々の選手の調整という程度の意味しかない。楢崎、中澤が故障で代表を辞退したから、代わりにひさしぶりの出場機会を得た川口や寺田、高木和道らにとっては、本番に向けての貴重な試合だったのかもしれない。それにしたって、あきらかに実力が劣る相手とホームで対戦したのでは、たいした収穫はないだろう。それだったらば、いきなりぶっつけ本番のほうが緊張感があっていいんじゃないかと、そんなふうにも思えてくる。
 というわけで、僕はこの試合にほとんど意味を見出せなかった。決して試合内容が悪かったということはない。FW4人を一気に起用したスタメン──川口、篤人、寺田、闘莉王、長友、阿部、憲剛、岡崎、大久保、達也、玉田という顔ぶれ──は、流動的で積極性があって、前半はけっこう好印象だった。
 でもいくらこの構成が好印象だったと云ったところで、しょせん俊輔やヤットが加わる来週の試合ではまったく違うメンバーになってしまうのだろうし、そんな、再現性がないと{はな}からわかっているメンバー構成では、こちらの盛りあがりもいまひとつだ。後半の選手交替も顔見せ興行みたいで、ぜんぜん戦略性が見えなかったし──出てきたのは後半のあたまから寿人、香川、今野の3人、あとから高木、巻、駒野で、計6人。いまとなるとこの顔ぶれも新鮮さに乏しい──、おかげで観ているこちらとしては、なんとも集中力を欠く試合になってしまった。ということで、内容については簡単に。
 この日の先制点は長友。開始3分でいきなりゴール前へドリブルで切れ込み、思い切りのいいシュートをたたきこんでみせた。これが代表初ゴールだそうだ。あっぱれ。
 2点目は玉田で、憲剛からのラストパスを受けての左足ボレー。これもとてもきれいなゴールだった。ああいうシュートが打てるのだから、玉田もまだまだ捨てたもんじゃない。
 後半の3点目は大久保が打ったトゥーキックのシュートが、相手DFにあたってコースが変わったもの。ややラッキーなゴールだったけれど、それでもあれはシュートを打つ積極性があればこそなので、オッケー。
 失点は香川がPKをとられたもので、こちらは逆にややアンラッキーな判定だった。彼は後半からの出場ながら、決定機を2本はずしたのも含め、よくも悪くも目立っていた。
(Nov 13, 2008)

カタール0-3日本

ワールドカップ・アジア最終予選/2008年11月19日(水)/ドーハ(カタール)/テレビ朝日

 日本はこれまでカタールに勝ったことがないんだとか、舞台となるのは「ドーハの悲劇」で有名なドーハだとか、楢崎と中澤が故障で代表を辞退したとか、俊輔も足を痛めているとか、負けたら3位に転落だとか、なんだかんだ……。もうマイナス要因を積み上げたらきりがないんじゃないかって、ネガティブな情報ばかりが飛び交うなかで行われたW杯最終予選の三試合目。日本代表の試合が観られるのも今年はこれで最後だ。
 いやー、しかしながら、これがよかった。今年のベスト・ゲームでしょう。序盤こそカタールの圧力に押され気味だったものの、それ以降は相手にチャンスらしいチャンスを与えず完封勝利をおさめ──いや、そういえば川口がパンチングでシュートを弾くシーンがあった──、でもってこちらはツートップがともにゴールを決めての3得点という結果には、けちのつけようがない。一年の最後にとてもいいゲームを見せてもらえてよかった。おかげでさすがにゆうべは気持ちよく眠れた(ただし睡眠時間は4時間足らず)。
 この試合で岡田さんは僕の予想に反して、松井をスタメンで起用しなかった。先発メンバーは、GK川口、4バックは右が篤人、左が長友、センターバックは闘莉王と寺田の長身コンビ、中盤は長谷部と遠藤のダブル・ボランチに、右が俊輔、左が大久保、そして田中達也と玉田のツートップという布陣(テレビ中継では達也をトップ下と紹介していたけれど、岡田さんは試合後の記者会見でツートップと発言していた)。つまり前のシリア戦からダブル・ボランチを両方とも入れ替え、岡崎を俊輔と入れ替えた形。途中出場は松井、岡崎、寿人の3人だった(アウトは達也、大久保、玉田)。
 右が俊輔と書いたけれど、後半は大久保がかなりの時間を右でプレーしていたりで、中盤から前はかなり流動的だった。とにかく全員が高い守備意識をもって、しっかり走っていた感じ。
 なかでも足を痛めているはずの俊輔──膝のテーピングが痛々しかった──が、最前線から最終ラインの手前まで、献身的に駆けずり回っていたのが、とても印象的だった。相手の最終ラインに対しては積極的にプレスをかけにゆき、こちらのピンチとみると、うしろからすっと体を入れて、相手のボールをかっさらう(おおっ俊輔、守備もうまいじゃないか)。もっとも実績のある選手があれくらい走っているとなると、ほかの選手だってサボってはいられない。岡田さんがフル出場させたくなるのもわかる存在感だった。まあ、怪我をしているのだから、できれば点差が開いた時点で交替させてあげたほうがよかったと個人的には思うけれど。
 でもほんと、この試合に関しては全員よくがんばっていたと思う。まあ若干、気になるプレーがないでもなかったけれど、こういう日はネガティブなことを書くのはやめておく。
 なによりもこの日は3つのゴールがどれも素晴らしかった。田中達也が篤人からのロングボールに反応して、相手DFの裏へと抜け出して決めた、貴重な1点目。後半早々、長谷部がゴール正面から左サイドへとはたいたパスを、玉田がノートラップで左足を振りぬき決めた、豪快な2点目。そして俊輔が右サイドのショートコーナーからのリターンパスを受けて蹴り込んだクロスを、闘莉王がファーサイドぎりぎりからヘディングで押し込んだ、とどめの3点目。どれもそれぞれの選手たちの特徴がよく出た、ナイス・シュートばかりだった。
 岡田ジャパンの発足から始まったこの一年。なんだか釈然としない試合ばかり見せられてきた気がするけれど、最後の最後に気持ちのいい試合を見せてもらえてなによりだった。さあ、この次は来年2月に宿敵オーストラリアをホームに迎えての一戦だ。ぜひとも同じようないい試合を期待したい。
(Nov 20, 2008)

大分トリニータ0-1鹿島アントラーズ

J1・第32節/2008年11月23日(日)/九州石油ドーム/NHK総合

 天皇杯では9年ぶりに準々決勝進出を逃し(清水に延長戦の末、3-4で敗れる……)、ACLでガンバが優勝したことで出場国枠でのクラブW杯への出場もなくなったため、今年残っているのはもうリーグ戦のみとなったアントラーズ。中後が天皇杯で負けたあとのインタビューで「12月6日に全日程が終了してしまうなんて初めてだ」と云っていたらしいけれど、それは僕にとっても同じで、こうやってサッカーについての文章を書くようになって以来、そんなに早くアントラーズの試合が観られなくなってしまうのは、初めてのことだ。観ているだけの僕でさえ、この状況はそうとう無念なんだから、当事者である選手たちにとってはなおさらだろう。あとはこの悔しさを糧にモチベーションを高め、2連覇を成し遂げてくれることを祈るばかり。
 ということでJ1第32節は、勝ち点2の差であとを追う3位のトリニータとの直接対決。ここまで31試合で失点23という、素晴らしい数字を残している大分の守備力をいかに攻略するかがポイントの試合だった。
 この日のスタメンは曽ヶ端、篤人、岩政、伊野波、新井場、青木、中後、本山、野沢、興梠、マルキーニョス。前節、ダニーロが全治2ヶ月の怪我をして、今季の残りは絶望とのことで、ようやく野沢に先発の機会が巡ってきた。
 ダニーロの戦線離脱は痛いけれど、その分、野沢にかかる責任が大きくなるわけで──リーグ優勝の可否は彼の両肩にかかっているといっても過言じゃないと思う──、この状況に奮起しないようでは、今後のチームを任せるわけにはいかない。小笠原の背番号8を引き継いだ男として、ふさわしい仕事を見せて欲しいもんだと思う。今日の試合ではまだまだだなぁって感じだったけれど。
 でもまあ、野沢くん個人の出来はおくとして、この試合のアントラーズはとてもよかった。チャンス・メイクの数で大きく相手を上回っていただけではなく、ことディフェンスに関しても相手を凌駕していたと思う。前半、再三のチャンスに本山がシュートをふかしたり、ポストに嫌われたり、野沢が枠を外したりと、決定機を逃しまくってハーフタイムに入ったときには、こりゃ大分のペースかとちょっと不安になったものだけれど、後半10分に興梠の強引なシュートからの跳ね返りを、内田篤人──自らシュートのお膳立てをするクロスを入れたあとで、ペナルティ・エリア内に侵入していた──が決めて先制すると、その後は相手のお株を奪うような専守防衛に徹して──というか、マルキーニョスのキープ力を生かした、持ち前ののらりくらりとしたサッカーを展開して?──、貴重な勝ち点3をゲットした。終盤、逃げ切りに入ってからの試合展開は、はらはらどきどきだった(ロスタイムが5分もあるし)。いやー、しびれました。
 なんにせよ、これで首位鹿島の勝ち点は57。前節まで2位だった浦和が清水に黒星を喫して4位に後退(本当に今年の浦和は……)。2位に浮上してきたのは、2-2での試合終了間際に、ヨンセン(今季限りでの退団が決まったらしい)のPKで劇的な勝利をおさめた名古屋。勝ち点は55で、アントラーズとの差はわずか2。さらに3位の川崎も勝ち点54。
 ということで、あいかわらず勝ち点3の差に3チームがひしめいている状況ながら、鹿島の最終節の対戦相手が札幌なのを考えると──すでにJ2降格が決まっているチームにこの局面で負けるとは思えないから──、おそらく次の試合に勝ては優勝はほぼ決まりでしょう。
 その次節の対戦相手はジュビロ磐田。あちらにもかつて二強と呼ばれたプライドがあるだろうし、これまたしびれる試合になりそうだ。
(Nov 23, 2008)

鹿島アントラーズ1-0ジュビロ磐田

J1・第33節/2008年11月29日(土)/カシマスタジアム/NHK総合

 前日(というかこの日の朝)、椎名林檎のライブから戻ってきて、地元で友人と午前5時まで飲んでいたものだから、この日はひどい二日酔いで……。試合の20分前に目を覚まして、とりあえずベッドを抜け出してはみたものの、いやぁ、つらいつらい。とてもじゃないけれど、まともにサッカー観られる状態じゃなかった。それでも2時間どうにか我慢して、アントラーズの劇的勝利を見届けると、ふたたびベッドへ。日が暮れるまで惰眠をむさぼった私でした。あぁ、駄目だ……。
 この日のアントラーズのスタメンは前節といっしょ。序盤はいつもの積極的なプレッシングでジュビロを圧倒していたものの、その後は一進一退という感じになり、チャンスの数では相手を凌駕しつつもゴールに至らないという、このところありがちな展開で、試合はスコアレスのまま、ずるずると終盤へ。
 後半に入り、相手があまり攻めてこないとみて、オリヴェイラ氏も攻撃的な采配を振るう。野沢を田代に代えて3トップにし、疲れの見える本山をマルシーニョに代え、最後は中後を増田に代えて、青木のワンボランチで決勝点を奪いにゆく。
 結果としてこの最後の交替が功を奏した。それも後半ロスタイムの4分がすぎて、最後のワンプレーでもって。ジュビロの右サイド深くでマルキーニョスが得たFKのチャンスを増田が素早く蹴りこみ、そのボールに岩政が頭であわせての決勝ゴ~~ル。最後まであきらめずに勝利を目指したチームの姿勢が、最後の最後になってみごと実った。決めた岩政はもちろん、残り時間がほとんどないのをわきまえて、ためらわずにキックをした増田のファインプレーだった。
 このところエースのマルキーニョスが4試合連続無得点と、やや調子を落としていたり、野沢がそれがなぜ決まらないという見事なシュートを2本も外したりと(彼のプレー自体はけっこうよかった)、チーム自体は本調子ではない感じなのだけれど、それでもドローで終わっていてもおかしくない、こういう試合をしぶとく勝ち取るあたり、強いときのアントラーズらしい雰囲気になってきた。これはいけるんじゃないだろうか。
 3位の川崎が勝ったので、優勝は最終節に持ち越しになった。その次節の鹿島の対戦相手は、すでにJ2降格が決まっている札幌。思えば、去年の浦和も同じように最終節で、すでにJ2降格の決まっていた横浜FCと対戦して、まさかの黒星を喫して優勝を逃したのだった。今年はアントラーズが逆の立場で優勝を目指すことになるというのも、不思議なめぐりあわせだ。よもや去年の浦和の二の舞を踏むことはないと思うけれど、勝負ごとだけにどうなるかわからない。うーん、来週が待ち遠しい。
 それにしてもジュビロとアントラーズの対戦が黄金カードと呼ばれたのもいまは昔。ひさしぶりに観るジュビロのスタメンには、川口、鈴木秀人、駒野、前田の4人しか知っている選手がいなかった(現在降格争いの真っ只中にいるってのは、どうやら世代交代がうまくいっていないらしい)。後半途中からは名波と中山が登場。これはなかなか嬉しかった。名波は引退を表明しているので、彼のプレーを見るのもこれが最後だ。ちゃんとその姿を目に焼きつけておきたかったのに、酔っ払いの僕は目を開けているのが精一杯のていたらく。なってません。
 ということで08年シーズンのJ1も次週決着。でもその日は朝から親族の法事だ~。はてさて、キックオフまでに帰ってこられますやら。
(Nov 30, 2008)