日本3-0オマーン
ワールドカップ・アジア3次予選/2008年6月2日(月)/日産スタジアム/BS1
フランスW杯のときに日本サッカー協会の会長だった長沼さんがお亡くなりになったということで、全員が喪章をつけてのぞんだオマーン戦。
始まるまでは、この喪章が日本代表のW杯出場に赤信号がともる象徴になりやしないかと心配していたのだけれど、いざ開けてみれば、そんなのはつまらない杞憂だった。僕はなんでこんな国のことを恐れていたんだろうと、自分の弱気が情けなくなってしまうほど、オマーンは弱かった。なんでもスタメン3人が累積警告で出場停止、2人が怪我で出場できなかったという話だけれど、なにが悲しくて予選2試合を終えただけで、3人も出場停止になってしまうんだろう。そんなひどいサッカーをやっている国に、いまさら日本が負けるわけがない。ことこの試合に関して言えば、戦う前から勝負は決していた気がする。
それでもまあ、この日の日本がいいサッカーを見せてくれたのも確かだと思う。いや、いい内容でした。とりあえず満足。
岡田さんが選んだこの日のフォーメーションは4-4-2で、GK楢崎、DFは右から駒野、中澤、闘莉王、長友、MF遠藤、長谷部、俊輔、松井、FW大久保と玉田という組み合わせ。
ポイントはひさびさに遠藤をボランチで起用したことだと思う。鈴木啓太や今野といったディフェンスに秀でた選手ではなく、ヤットに中盤の底を任せて、なおかつもうひとりに長谷部を起用してのダブル・ボランチというのは、そうとう攻撃的だ。是が非でも勝ちが必要なホームの試合にこういう勝気な姿勢でのぞんだ岡田さんは、意外と勝負師かもしれない。鈴木啓太と中村憲剛が好きな僕としては、彼らの出番がないのは残念だけれど、でもまあ、今日の内容ではケチのつけようがない。ひさしぶりにすっきりとした気分を味わわせてもらった。
それにしてもこの日の3ゴールはどれも素晴らしかった。
まず1点目は遠藤の左CKからの中澤のヘディング。ボンバーヘッドという彼の愛称にぴったりの、破壊力抜群の弾丸シュートだった。前半わずか10分のこの先制点はでかかった。これでもう今日の試合はもらったも同然だと思った。
2点目もよかった。闘莉王がするするっと最前線に攻めあがったところへ、すかさず俊輔が右サイドからどんぴしゃのロングボールを放り込む。闘莉王(なんでそこにいるんだ)はこれをヘディングでぽっかりと空いたスペースへと落とし、そこに大久保がフリーで駆け込んできて、落ち着いてグラウンダーのシュートを決めてみせた(本人はそうとう緊張したと言っている)。俊輔の視野の広さと正確なロングパス、闘莉王のヘディングの強さ、大久保のストライカーらしい決定力と、三人それぞれのよさが出た、じつにいいゴールだった。
3点目は後半で、松井からのパスを受けた俊輔が、左足のキックフェイントで相手DF数枚を置き去りにして決めた、珍しい右足シュート。これもなんともいいゴールだった。こんなにいいゴールばかりの試合もひさしぶりだ。いやあ、オマーンが予想外に弱かったにせよ、とてもいい試合でした。満足、満足。
オマーンはこの試合でイエローカードをもらった二人が、5日後に行われるオマーンのホームゲームでは出場停止なんだそうだ(いったいこれまでに何枚イエローをもらっているんだか)。そのうちのひとりは11番の選手だというし、オマーンでは40度近い猛暑の中での試合になるかもしれないという噂だけれども、今日の試合を観るかぎり、よほどの不運がなければ、いまの日本がオマーンに負けるとは思えない。今日の勝利で3次予選突破はほぼ決まりでしょう。いやはや、ひと安心。
(Jun 02, 2008)