2007年4月のサッカー

Index

  1. 04/14 ○ 横浜C0-1鹿島 (J1・第6節)
  2. 04/18 ○ U-22シリア0-2U-22日本 (五輪・二次予選)
  3. 04/21   浦和1-2川崎 (J1・第7節)
  4. 04/21 ○ 清水1-2鹿島 (J1・第7節)

横浜FC0-1鹿島アントラーズ

J1・第6節/2007年4月14日(土)/日産スタジアム

 ようやくアントラーズが今季リーグ戦初勝利をおさめた一戦。故障明けの野沢が途中出場ながら今季初出場を果たしたという点でも注目すべき試合だったし、CM入りとはいえ、テレビ放送をしてくれたTBSに感謝したい。この試合は珍しく当日になるまでテレビ放送があることを知らなかったから、朝刊の番組表で放送があることを知ったときは、思わぬ拾いものをした気分だった。最下位争いをしているチーム同士の対戦を──カズのJ1通算300試合出場達成という話題性があったにはせよ──わざわざ放送してくれたTBSさん、ありがとう~。
 アントラーズのスタメンはこの試合も開幕戦と同じ。水曜日のナビスコ杯では出場停止の本山に代わり増田がスタメンだったようだけれど、そういった理由がないかぎり、オリヴェイラ監督は極力スタメンを固定する方針の監督らしい。ブラジル人にはそういう人が多いんだろうか。まあ僕もどっちかというとそういう方が好きだから、それはそれでいい。
 ただ、延々とスタメンで起用されて続けているにしては、あいかわらずダニーロの出来はよくない。解説の金田さんからもひどすぎると言われていたし、そう思っているのは僕だけじゃないだろう。たまには、おっと思わせるようなプレーがなくはないのだけれど──実際この日の決勝点は彼が起点になったものだった──、それもごく{まれ}。運動量は少ないし、パスミスも多いし、2年前にサンパウロが世界一になった時のチームにいたという選手が、どうしてあの程度のプレーしかできないのか、理解に苦しむ。27歳という年齢を考えれば、いまが一番脂の乗った時期だろうに。
 まあ、ただダニーロが駄目な分、今年は本山がとてもよさそうだ。この試合でも、柳沢の決勝ゴールへのアシストを始めとして、素晴らしいラストパスを何本も通していた。ボールタッチ数も多いし、僕はいまの彼のプレーにはとても満足している。いきなり頭を五分刈りにしてみせたのも、自らが低迷するチームを引っぱってゆかないといけないという決意の表れだろう。今年の彼には期待してもいい気がする。
 ちなみにこの試合では大卒ルーキーの船山が、青木に代わって途中出場でJ1デビューを果たした。プレーはわずかで、どういう選手だかぜんぜんわからなかったけれど、開幕から1ヶ月たらずでチャンスをもらえるくらいだから、将来性はあるんだろう。基本的にアントラーズの場合、そのほかのメンバーにしたって、(国内でならば)どこに出しても恥かしくないような選手がそろっていると僕は思う。いっくらトップ下の新外国人の出来が悪いからって、やはりいまみたいに低迷しているのがどうかしている。
 まあ、低迷しているとはいっても、リーグ戦での黒星は最初の2試合、川崎とG大阪だけで、あとはずっと引き分けだから、実はそれほど悲観しなくてもいいのかなと、今日の試合を観てちょっと思った。野沢も帰ってきたことだし、これからはもっともっと上向くだろう。次の試合の相手が、今季好調な上に、昔から苦手とする清水なのは気になるけれど、逆にいえば、ここで勝てるようならば、まだまだ巻き返しは可能だ。さいわいテレビ放送もあるので、素晴らしい試合を期待したい。
 この日の唯一の得点は柳沢の左足。よくぞ決めてくれた。いいゴールだった。その場面に限らず、前半にはカウンターから本山の決定的なラストパスが通って、マルキーニョスがGKと1対1となるチャンスが何度もあったので、得点がその1点だけというのは、ややさびしい結果だけれど、とりあえず何度もチャンスを作り出せていたことのほうを好意的に受け止めておきたい。ほんと、これで野沢がスタメンに戻ってくれば、かなり戦えるようになるだろう。まあ、ダニーロが現状のままスタメンに居座って、かわりに青木あたりがベンチに下がるようだと、まだまだ安心はできないけれど。
 対する横浜FCは、この日の話題の中心だった40歳のカズを始めとして、山口素弘38歳、小村37歳、そしていまやベテランの久保と奥という、元日本代表でおなじみの選手たちがチームの半数を占める、ヴィンテージなおもしろみのあるチームだった。最近ちょっぴり評判の菅野も、なるほど闘志あふれるいいGKだと思った。
 この日はカズのみならず、ジュビロのゴン中山もおよそ半年ぶりのスタメン出場を果たしたというし、同世代の彼らがいまだに現役でプレーし続けている姿には、とても励まされるものがある。これからもできる限り長いこと、がんばってもらいたいと思う。とりあえずアントラーズ戦以外で。
(Apr 14, 2007)

U-22シリア0-2U-22日本

オリンピック二次予選/2007年4月18日(水)/ダマスカス/テレビ東京

 五輪代表が4連勝で最終予選進出を決めた。結果だけ見れば上々だから、世間的な評価も悪くないみたいだけれど、僕はやはり今回もいまひとつだと思った。
 スタメンはGK西川、DF青山直晃、伊野波、水本、MF青山敏弘、梶山、水野、本田圭佑、家長、FWカレン・ロバート、平山という顔ぶれ。途中出場は上田康太、増田、そして柏レイソルで今季ここまで4得点という大活躍を評価されて、代表に初招集されたばかりの菅原だった。
 この試合では2トップの出来がよくなかった。ふたりとも、とにかくボールタッチが少なすぎた。特に平山がひどい。出来が悪くてFC東京でスタメンを外されたとは聞いていたけれど、本当によくなかった。ヘディングは思ったほうに飛ばないわ、足元にもボールが収まらないわ。ひと月前の試合では、それなりに感心させられたというのに、いったいなんなんだろうか、あのプレーは。どうしてあんなになっちゃうかな。
 コンビを組むカレンもほとんどボールに絡めていなかった印象だし、おまけにトップ下の家長がこの日はプレーの精度を欠いていて、いまひとつ。前線の三人がこの調子じゃ、あまりいいサッカーが展開できないのも当然だ。それでも水野はあいかわらず頼りになるし、本田はこれまで僕が見たなかでは一番存在感があったので、なんとか形になったという感じだった。結局、前半にこのふたりが決めたゴールで日本がそつなく勝利を収めることになった。
 水野のゴールは豪快なミドル。前半15分くらいだろうか、いい時間帯だったので、おかげでずいぶんと試合運びが楽になった。本当にこの子はいい。この子とか言っちゃ失礼な気はするけれど、でもそんなふうに子供扱いしたくなるようなあどけなさがまだまだ残っているのに、あれだけのプレーができているというところがすごい。
 本田のゴールはCKから、相手のミスで得たフリーのチャンスを落ち着いて決めたもの。フリーになったのは相手のミスからだったけれど、ボールは目の前でハーフバウンドしたため、胸トラップが浮き球になってしまうという、やや扱いにくそうなものだった。そのボールがふわり落ちてくるところを、落ち着いてボレーシュートで決めたのには、ちょっぴり感心させられた。なにげない、簡単そうなシュートだったけれど、あの位置でああやって落ち着いてボレーが蹴れるというのは、じつはすごいんじゃないだろうか(誉めすぎ?)。とにかく初めてその怪物ぶりの片鱗を見せてもらえたような気がした。
 いや、でもそうやって2点のリードを得て前半を折り返したわりには、後半はかなり相手に攻められていたし、ほとんどいいところがなかったと思う。おかげで今回も消化不良の気分が否めなかった。なんだか見るたびに、本当にこのチームはオリンピックに行けるのかなと一抹の不安をおぼえてしまう。
(Apr 19, 2007)

浦和レッズ1-2川崎フロンターレ

J1・第7節/2007年4月21日(土)/埼玉スタジアム2002/NHK

 今年のJ1は、浦和、G大阪の2チームがあたまひとつ抜けていて、それに川崎が続き、鹿島をはじめとした数チームが第3グループにつける、という形だと思っている。鹿島が第3グループに入るというのは贔屓目かもしれないけれど、おそらくそれ以外については、かなり一般的な見方だろう。
 で、そのトップグループのなかでも個人的に一番気になっているのが川崎。
 いまの川崎のサッカーは見ていてとても楽しい。中村憲剛を中心に3シーズン以上かけて熟成させてきた攻撃陣のコンビネーションがばっちり決まっていて、小気味よいことこの上ない。パスワークが信条といわれる日本代表を長いこと応援してきた身としては、とても好みにあっている。Jリーグ発足当時から応援している鹿島アントラーズの存在がなければ、いっそ乗り換えてしまおうかと思ってしまうくらいだ。
 対するレッズに関しては、どうもゼロックス杯でガンバにボロ負けした印象が強くて、今年は駄目なんじゃないかという先入観を抱いている。監督も代わったことだし、ACL出場による過密日程もあるし、さすがのレッズも今年は厳しいのではと。ACLによる日程の問題は川崎も同じで、選手層の薄さを考えるとこちらはなおさら厳しい。だから今年の優勝候補筆頭はガンバ大阪だというのが僕の予想だったりする。
 でもこの試合を見る限り、簡単にはそうと言い切れないみたいだ。やっぱり両チームともいい。とてもいい。特に負けはしたけれど、レッズは今年も憎たらしいくらい強かった。
 試合は前半、持ち前のパスワークで前を向こうとする川崎を浦和ががっしりと押さえ込み、効果的なカウンターで相手ゴールを脅かすという展開になった。川崎のコンビネーションも悪くはなかったのだけれど、この日はそれに若干のズレがあった感じで、それゆえにわずかずつプレーが遅れ、レッズの堅い守りを崩しきれなくなっていた。ボールは回せるのだけれど、ゴール前まで近寄らせてもらえず、まったくシュートが打てない。
 いっぽうのレッズは、川崎にどれだけボールを回されても動じることがなく、いざというところでボールを奪うと、少ない手数で効果的に攻撃を形作り、ワシントンの決定力を生かして、決定的なチャンスを生み出し続ける。闘莉王を故障で欠いてはいるものの、その代わり今年はその代役を果たしてあまりある阿部がいるわけだし、長谷部もスタメン復帰している。すっかり存在が地味になっちゃったけれど、小野伸二だって健在だ。前半を見た限りでは、やはりレッズのほうが力は上だと思えた。
 ところがサッカーというのはわからないもので、後半が始まってすぐに、そんなレッズが先にゴールを奪われることになる。
 先制ゴールは我那覇。今シーズンは怪我もあって調子が上がらず、ここまで無得点だった。そんな我那覇の初ゴールをアシストしたのが、彼がスタメンを外れているあいだに頭角をあらわした7番のFW黒津。ここまで3得点という活躍を買われて、この日は3トップの一角を任されていた。先制ゴールは、彼が左サイドから懸命に上げたグラウンダーのクロスを、我那覇が阿部の前に足を投げ出して押し込んだものだった。
 川崎はその6分後にマギヌンのゴールで浦和を突き放す。アシストが誰だかかわからないけれど、これも同じような左サイドからのグラウンダーのラストパスに中央であわせたもの。やはりレッズはこの日、闘莉王を故障で欠いていたのが響いたような気がする。
 その後レッズも王者の意地を見せて、闘莉王の替わりにスタメン出場していた堀之内の泥臭いゴールで追撃をみせはしたものの、この日はエース、ワシントンが決定力を欠いたのが響いた。再三攻め立てるも、けっきょく追いつくことができないまま、ゲームセット。長いこと話題になっていたホームでの無敗記録も、ついに25試合でピリオドとなった。試合終了のホイッスルを聞いた瞬間の、中村憲剛のなんとも嬉しそうな笑顔とガッツポーズが微笑ましかった。いやはや、両チームとも敵ながらあっぱれな、白熱したいい試合でした。
(Apr 22, 2007)

清水エスパルス1-2鹿島アントラーズ

J1・第7節/2007年4月21日(土)/日本平スタジアム/BS1

 試合が始まるまでは、ああ、また天敵のエスパルスだよとか思っていたのだけれど。
 アントラーズがエスパルスを苦手にしていたのは数年前までの話で、この何年かは負け知らずなのだという。調べてみたらば、確かにそのとおりで、最後の黒星は2003年のファースト・ステージまでさかのぼる。ほんとにそれ以降は6勝4分と負け知らず。なんだ、いまや天敵どころか、お客さんじゃないか。かつて負けまくっていた記憶が強烈で、そんな状況になっているとは思ってもみなかった。
 実際にこの日の対戦結果も、そんな最近の成績を反映したものとなった。内容的に相手に押されつつも、少ないチャンスをものにして勝ちきるというもの。かつてあれだけ苦手としたチームが相手とは思えない。うーん、知らない間に時代が変わった気がする。
 アントラーズにとってのこの日の一番の話題は、野沢のスタメン復帰。出来はまだまだだし、体力的な問題もあるようで、後半の途中で早々とベンチに下がってしまったけれど、それでも柳沢の先制点をアシストしたシーンのように、部分部分では持ち前のサッカーセンスのよさを見せてくれていたと思う。試合終了間際には大岩もわずかばかりながらピッチに姿をあらわしたし、これであとは田代が復帰すれば、攻守ともに駒不足は解消されるだろう。(追記:と思っていたのに……)
 気になるのは、野沢の復帰にともなう選手起用。普通に入れ替えるのならば、本山かダニーロのどちらかがベンチということになるのだけれど、いまの本山を下げるというのは納得がいかないし、かといっていくら出来が悪いとはいえ、背番号11を預けた外国人をこの時期に控えに回すというのも考えにくい。となると結論は、この日のようにフォーメーションをダイヤモンド型にして、ボランチは中後1枚として、青木をベンチに下げるということになる(ちなみにこの日の試合では、ファボンが足を傷めたとかでベンチを外れたので、青木がセンターバックに入っていた)。
 ただし両サイドバックの攻撃参加を武器とするアントラーズにとって、サイドバックが攻め上がった際の両サイドのケアは重要だ。その点でワンボランチは不安が残る。この試合での唯一の失点も──すかすかだった左サイドを駆け上がってきた市川が、そのままの勢いで打ったミドルシュートで、曽ヶ端が横っ飛びして手にあてながらも止めきれなかった──、僕はワンボランチにしたせいで、左サイドのディフェンスが薄くなったのが原因だったと思っている。それでなくてもこの数年、新井場のサイドは最大のウィークポイントなのだから、そこをしっかりとケアするためにはボランチは2枚必要じゃないだろうか。なので、野沢、本山、ダニーロの併用には不安が否めない。
 もっとも、あいかわらずぱっとしないダニーロだけれど、この試合の印象では、運動量が少ないというのは僕の間違いで、それなりに献身的に走り回っているようだった。守備にも手を抜いていないみたいだし、いまだにまわりとの連係がうまくいっていない──もしくはあまりまわりから信用されていない?──からボールに絡めていないようだけれど、そのへんが改善されれば、もしかしたらいずれブレイクすることもあるのかなと、淡い期待を持ったりもした。なんだか真面目そうな人だし。
 ということでそんなダニーロを交えた攻撃陣をどういう形で使ってゆくのか、この先のオリヴェイラ采配が注目されるアントラーズだった。
 この日の得点は2点とも柳沢。1点目は野沢のラストパスを受けて、相手DFの裏へとオフサイドぎりぎり(かつハンドぎりぎり?)で抜け出てGKと一対一となり、これをきっちりと決めたもの。2点目はマルキーニョスが右サイド深くに切れ込んで上げたクロスを、反対サイドでフリーで待っていて、ヘディングで決めた。どちらもアシストが素晴らしかったとはいえ、それでもここ2試合で3得点という柳沢の決定率の高さは嬉しい。このまま得点を伸ばしてゆければ、いずれはまた日本代表も視野に入ってくるだろう。基本的にディフェンスや無駄走りを厭わないヤナギのプレースタイルには、十分オシム監督にアピールできるものがあるはずだと思うし、ぜひがんばって欲しいもんだ。(追記:なんて書いたあとで、その柳沢が左足の指を骨折して全治3ヶ月というニュースが。なんてこった)
 まあ、なんにしろ勝ちはしたものの、やはり内容的にはまだまだだ。昼間の浦和-川崎戦と比べると、その差は歴然。中盤がコンパクトでスペースがなく、人の動きが活発だった前の試合と比べてしまうと、こちらはけっこうスペースがあったし、動きも緩慢な印象を受けてしまった。試合にこそ勝ったものの、内容では清水に負けていたと思う。実際、前半にはやたらとシュートを打たれまくっていたし、ほとんどが曽ヶ端の真正面だったり、藤本の見事なダイビングボレーがポストをたたいたりしたから助かったけれど、あのうちの一本でも先に決められていたら、勝負はどうなっていたか、わからない。とにかく勝ててよかった。
 でもまあ、考えてみればシーズンの序盤戦がよくないのはアントラーズの伝統のようなものだから、いまはこれくらいでも大丈夫なのかもしれない。とにかく勝ち点を9と伸ばして、順位も9位まで上げたし、いまは結果オーライ。これからに期待しよう。
(Apr 22, 2007)