2004年10月のサッカー

Index

  1. 10/13 ○ オマーン0-1日本 (W杯・アジア一次予選)
  2. 10/17 ● 新潟1-0鹿島 (J1・2ndステージ9節)
  3. 10/23 ● 鹿島2-3浦和 (J1・2ndステージ10節)
  4. 10/30 ○ 鹿島3-1横浜M (J1・2ndステージ11節)

オマーン0-1日本

W杯アジア一次予選/2004年10月13日(水)/マスカット/フジテレビ

 さあ、ワールドカップ最終予選出場をかけた大一番だ。勝てば一次予選突破決定、負ければ逆に敗退がほぼ決定という、一次予選のクライマックスの一戦。サッカーを見るようになって以来、これほど長い間、ハラハラしながら待った試合はなかったんじゃないかと思う。三ヶ月以上前からこういう大一番を迎えることが確定的だったため、ずっとどきどきし続けていた気がする。
 もうサッカーを見るようになって十二年にもなるんだから、そりゃ今までにも重要な試合は幾度もあった。ただそれらはあくまで本戦だったり、これに勝てば本戦出場が決まるといった場合だ。こんな風に一次予選で敗退するかもしれない、本戦を含めて二年間以上もワールドカップと縁がない国になってしまうなんて屈辱的な状況に置かれたのは初めてだ。根が悲観的なものだから、負けたらどうしようとマイナス思考が働いて、落ち着かなかった。
 そうした不安を抱かざるを得なかったのは、今の日本代表に対して不信感があるからだ。アジアカップでのサッカーを見せられて、日本代表の強さを実感した人は少ないんじゃないかと思う。ディフェンスはある程度満足がいくけれど、攻撃の面ではあまりいいところがない。攻撃的サッカーを標榜していたはずのジーコが、いつの間にか耐えに耐えたあげく少ないチャンスをものにするという、とても守備的なサッカーを繰り広げている。それには頼みにしていた海外組の招集の難しさや故障者の多さが影響しているのは確かだけれど、それにしてももっと別の選択肢があるだろうと思わずにはいられない。どうしようもないもどかしさがジーコのサッカーにはある。
 というわけで、はらはらどきどきしながら迎えたオマーンとのアウェイの一戦。先発は川口、田中誠、宮本、中澤、加地、福西、小野、三都主、中村俊輔、鈴木隆行、高原。アジアカップのメンバーに小野と高原を入れたという布陣だ。僕がこの試合の出場に期待してた中田英寿は代表復帰ならず。久保もスタメン出場するまでにはコンディションが復活しなかった。結局それはつまり、この試合でもあの大会同様の耐え忍ぶサッカーを見せられるということだ。
 そして試合はまさしくそういう内容になった。ただし嬉しいことに結果もあの大会と同じだった。つまり耐えに耐えて少ないチャンスをものにして勝ってくれたということだ。スコアレスで終わった前半こそ息が詰るような思いをさせられたけれど、後半比較的早い時間帯に俊輔のアシストにより隆行がヘディングを決めて先制したあとはもう余裕。ここから二点取られて逆転されることはないだろうと思うので、それまでのドキドキが嘘みたいに、脱力したままで残りの時間をやり過ごすことになった。
 この試合、俊輔のボール{さば}きの巧みさや、隆行の思わぬ決定力などにも感心させられたけれど、やはり一番印象的だったのは中澤。敵のロング・ボールをことごとく跳ね返すその高さには感心するのを通り越して何度か笑ってしまった。
 ディフェンスに関しては、宮本のよさっていうのは僕にはいつもながらわからない。田中誠は積極的な攻撃参加を見せたり、致命的なミスから無人のゴールに向けて打たれた相手のシュートを身を呈して止めたり──あの場面にはまいった──と、いつになくいいプレーをしているように見えた。これまでは特別いいと思わなかったし、この日は腰痛で痛み止めを使用しているという話だったから、あまり期待していなかったんだけれど、実に代表にふさわしいプレーぶりだった。ナイス。
 さあ、これで無事最終予選進出決定だ。最終予選は4チームずつの2グループに分かれて、そのうち上位2チームずつが本戦出場を果たすというレギュレーションだそうだ。今の日本が普通に実力を発揮できれば、勝ち抜けの可能性はかなり高いと思われる。ドイツ・ワールドカップ出場がとても現実的になってきた。しみじみと嬉しい。
 ちなみにジーコはこの試合のあと、消化試合となった次のシンガポール戦には、今の代表のメンバーの代わりに、日本代表に長いこと貢献してきた、カズなどのベテラン選手を起用したいという意向を表明したのだとか。ベテランにリスペクトを与えたいというのは実にジーコらしい発想ではあるけれど、ことこの状況では後ろ向きであまり誉められたことではないと思う。ちょっとばかり複雑な心境。
(Oct 17, 2004)

アルビレックス新潟1-0鹿島アントラーズ

J1・セカンドステージ第9節/2004年10月17日(日)/新潟スタジアム/BS1

 なんで弱小チームの新潟との試合が放送されるのだろうと不思議に思っていたら。驚いたことになんと、この日の時点で新潟は浦和、G大阪に続いて第三位だという。だからこの試合は鹿島の試合だからというより、新潟の試合だから放送があったことになる。なんてこったい。結果的もホントになんてこったいというものに終わってしまうし。
 本当に今のアントラーズはどうしちゃったんだろうか。この日のスタメンはいつもの4-4-2のフォーメーションで、曽ヶ端、内田、岩政、大岩、新井場、本山、フェルナンド、中田、小笠原、バロン、鈴木隆行という組み合わせ。4バックの右二人はスタメンを奪ったとは言えない状況だけれど、それでも現状を考えれば、これは今年のアントラーズのベストの布陣だと言える。ところが攻め切れない。圧倒的にボールを支配しつつも、フィニッシュに至らない。それでもって残り5分に、相手に唯一と言ってもいいようなチャンスを決められてしまい、スコアレスのまま敗戦。どうやらこれは優勝を狙うどころじゃなさそうだ。J1昇格チーム相手に一勝もできずに終わるチームが優勝を口にするなんて、ちゃんちゃらおかしい……。
 磐田もいまだ一勝しかできずに下位に低迷しているし、どうやら二強時代は完璧に終焉を迎えたということなんだろう。その事実を頭を押えて叩き込まれたような一敗だった。
(Oct 18, 2004)

鹿島アントラーズ2-3浦和レッズ

J1・セカンドステージ第10節/2004年10月23日(土)/カシマスタジアム/NHK

 セカンド・ステージで快進撃を続けるレッズとの対戦。どうにも勢いの差が出た気がする。二度先行されながら二度とも追いついたのは立派だったけれど、残り5分ちょっとで3点目を奪われてしまうと、もうさすがに追いつく余力は残っていなかった。
 失点に関してはその直前に内田を金古と交替させたのがどうにも納得がいかない。あそこで新しいDFを投入する心や如何に。結果論だけれど、あれが敗因な気がして仕方ない。トニーニョ・セレーゾの作戦ミスなんじゃないかと思う。
 まあとにかく内容的にはいい試合でした。
(Oct 23, 2004)

鹿島アントラーズ3-1横浜F・マリノス

J1・セカンドステージ第11節/2004年10月30日(土)/カシマスタジアム/TBS

 前節終了後、敗戦に憤ったサポーターが投げ込んだビール缶を本田がスタンドに投げ返してしまい、これに反発したサポーターがピッチに乱入するという事件があった。チームの自主的な処分を受けて、本田はこの試合出場停止。缶を投げ込んだサポーターも9ヶ月の入場禁止だとか。今年の不甲斐ない成績に憤るファンの気持ちはわからなくはないけれど、やっぱり暴力はいけない。別に選手たちが手を抜いているわけじゃないと思うし、こんな時期もあると辛抱するしかない。ジュビロに比べればまだましなんだから。
 この試合では練習中に肉離れを起こして戦線離脱した内田に代わり、青木が右サイドに入った。青木は不慣れなポジションながら、よくやっていたと思う。2トップの一角を任せられた深井のプレーも気に入ったし、出場機会に飢えている若手のやる気がとても印象的な試合だった。前節の事件もあって、全体的に勝利に対する意欲はとても強いのがわかった。横浜も奥(累積警告で出場停止)、久保、ドゥトラを欠いて、精彩を欠いたし、勝利は当然の結果だったような気がする。3得点すべてのセットプレーに絡んだ小笠原の存在感にも感銘を受けた。
 問題はイエローカードの多さ。主審の岡田さんのカードの切り方にも問題はあったと思うけれど、それにしても6枚はもらい過ぎだ。本山に到っては2枚目をもらって退場してしまったし。本山のみならず、累積警告で次の試合は小笠原、鈴木隆行、大岩も出場停止だという。まったく困ったもんだ。
(Oct 31, 2004)