2003年8月のサッカー

Index

  1. 08/02   横浜M3-0神戸 (J1・1stステージ第15節)
  2. 08/05   F東京0-3レアル・マドリー
  3. 08/09   J-EAST3-1J-WEST (Jオールスターサッカー)
  4. 08/16 ○ 鹿島1-0名古屋 (J1・2ndステージ第1節)
  5. 08/20 ○ 日本3-0ナイジェリア

横浜F・マリノス3-0ヴィッセル神戸

J1・ファースト・ステージ第15節/2003年8月2日(土)/横浜国際総合競技場/BS1

 ファースト・ステージ最終節。岡田監督の言葉を借りれば、「棚からぼたもちがたくさん落ちてきた」状態で、残り一試合を残して首位に立った横浜。対するは前節、昇格組の大分に8-0というJリーグ最多失点タイ記録の屈辱的なスコアで破れた神戸。優勝杯の行方はおのずから明らかだった。
 それでもヴィッセルは悪くない戦いっぷりを見せてくれたと思う。横浜が優勝を意識して固くなっていたせいもあるのかもしれないけれど、前半は0-0でしのぎ切った。前節大分に8点も奪われたチームとは思えない。後半こそ3失点を喫して敗れはしたものの、1点でも取れていれば、もしかしたら全然違う試合になっていたかもという印象を受けた。その意味ではカズが前半後半で一度ずつ、DFの裏を取ってフリーでシュートのチャンスを得ながら、決めきれなかったのが痛かった。あんな絶好のチャンスを決めきれないなんて、カズも衰えは隠せない。いまや数少なくなった同学年の選手だけに残念だ。
 ともかくマリノスが中澤の2得点(!)と奥の綺麗なFKで完勝して、ファースト・ステージを勝ち取った一戦だった。マリノスは中断明けから実に5連勝。獲得に失敗したカフーに代わり、急遽入団が決定したユ・サンチョルが、故障中の波戸の代役として右サイドバックで見事なプレーを見せてくれていたのが印象的だった。なんで日本に来てくれる韓国人選手は誰もがああも素晴らしいのだろう。地力の違いを感じる。
(Aug 05, 2003)

FC東京0-3レアル・マドリー

2003年8月5日(火)/国立霞ヶ丘競技場/テレビ東京

 実力差を考えるとFC東京が負けて当然だし、集まった超満員のファンも半分以上はレアル・マドリーを見に来ていたのだろうけれど……。リーグ戦真っ只中でまとまりのある日本のチームが、シーズン前の調整中のチームに苦もなくひねられるのを見せられるのは、とても悔しかった。レアルのゴールに盛り上がるスタンドを見て、なにがそんなに嬉しいんだ、やられているのは同じ日本人だろうがと思ってしまった。おれって結構愛国者かもしれない。うーん。
 なんにしろベッカムのFKが決まるまではFC東京もよく戦っていたと思う。そのちょっとあとの2点目の場面はどうしようもなかったし。あの位置であの人数が一斉にゴールへ向かって攻め上がって来た時点で、失点は避けられないと思わされた。いやはや、ちょっとばかり次元が違った。ぼてっとした体形のロナウドの3点目も力負け。でも、一番印象に残ったのは、やっぱり移籍後まもないのに十分にチームの攻撃の核となってたベッカムだった。
 とにかく世界一チームの実力を見せつけられた一戦だった。ちくしょう。
(Aug 12, 2003)

J-EAST3-1J-WEST

JOMOオールスターサッカー/2003年8月9日(土)/札幌ドーム/テレビ朝日

 夏の恒例、JOMOオールスターサッカー。JOMOは試合中に何度もCMを流すことでサッカーファンの顰蹙{ひんしゅく}を買っている気がする。少なくても僕の顰蹙は買っている。今年は解説もひどかったし、たまらず音声なしで見てしまった。こうした企画もののスポーツ中継における、うわついた演出はどうにかならないものかと思う。特にサッカーは集中して見てこそのスポーツだ。お祭りだからといってスポーツとしての本質は変わらないのだから、試合の途中で選手のインタビューなんか入れたらいけないだろう。気が散ってしまってゲームを楽しめない。野球とサッカーを同じ手法で演出しようとしているのが間違いだ。などと文句ばかり言いたくなるテレビ放送だった。
 東軍は曽ヶ端、坪井、松田、中田浩二、田中達也、阿部、根本、小笠原、岩本輝、エムボマ、チェ・ヨンス、西軍は楢崎、市川、シジクレイ、森岡、手島、福西、名波、吉原、森島、大久保、黒部というスタメン。4バック(だったのか?)の西軍はともかく、3バックで左サイドに中田浩二、右ウィングに田中達也を起用した清水監督の起用はどうかと思う。こうしたイベントで本来のポジションでない位置での起用は反則じゃないのかな。
 試合は序盤こそ西軍が綺麗なパス回しで攻勢を仕掛けるも、その後は堅実なプレー重視といった印象の東のペースに。結局小笠原のCKからの2得点(中田浩二とヴェルディ山田卓也)とエムボマの個人技からの豪快なゴールで東軍が勝利をものにした。西は後半出場のカズのゴールで一点を返すのが精一杯だった。最多票を集めた大久保は不発。まあ、あまりボールが集まってこなかったから仕方ないだろう。
 なんでも西軍の指揮をとった西野さんは、これがオールスター3度目の監督にしていまだ勝ったことが一度もないんだとか。なんだかとても気の毒になった。
(Aug 12, 2003)

鹿島アントラーズ1-0名古屋グランパス

J1・セカンド・ステージ第1節/2003年8月16日(土)/カシマスタジアム/BS1(録画)

 降りしきる雨の中で行われたセカンド・ステージの開幕戦。鹿島対名古屋というこのカードは、水曜日に行われたナビスコカップと同じ。中二日での連戦となった。監督がネルシーニョに替わっての初戦だった水曜の試合では、アントラーズが5-1という圧倒的なスコアで名古屋を叩きのめしている。
 それにしても去年市原から強引に引き抜いてきたヴェルデニック監督をいとも容易く解任してしまった名古屋のフロントは、いったいなにを考えているんだろう。ファースト・ステージでは13戦目まで無敗という成績を残していたにもかかわらず、だ。確かに引き分けばかりではあったし、最後の2試合で連敗しはした。でも決して悪い成績じゃなかった。というか、最後であとひと踏ん張りできていたらば優勝も狙えた成績だった。その連敗だって、ヴェルデニックの解任なんて話が持ち上がったゆえのモチベーションの低下がそれなりに影響しているだろう。解任が決まった監督がチームを優勝へ導けるはずがない。
 なにはともあれヴェルデニックは解任されてしまった。しかもそのスロベニア人の後任はブラジル人のネルシーニョだ。解任の理由もわからなければ、後任を決めた理由もわからない。そもそもリーグ戦が始まる一週間前に新監督が就任するような状態でいい成績が残せるとはとても思えない。実際に3日前のナビスコ杯ではシステムを4バックへ変更したのがアダになったのか、5失点もしている。ファースト・ステージではリーグでもトップクラスの守備力を誇っていたはずなのにだ。
 大半のサッカー・ファンがヴェルデニック率いるセカンド・ステージのグランパスに脅威を感じていたのではないかと思う。少なくても僕は感じていた。ファースト・ステージのアントラーズが、グランパスに負けてスタート・ダッシュに失敗したというのもあったし。ところが密かに恐れていたその監督はもういない。ネルシーニョも優れた監督なのだろうけれど、初めて指揮をとるチームをわずか3ヶ月半のリーグ戦でいきなり優勝に導くのは至難の業だろう。優勝候補チームがひとつ減ったのは間違いないと思う。アントラーズ・ファンとしては難敵が減って喜ばしいところだけれど、Jリーグ・ファンとしては楽しみがひとつ減ってしまったようなものだ。名古屋のフロントに憤りを感じる。そもそもファースト・ステージの途中でヴァスティッチを解雇したのも訳がわからなかったし。あのチームのスタッフのやることは、僕などには意味不明なことばっかりだ。
 というようなことで、いきなりアントラーズとは全然関係のない話ばかりになってしまったけれども。
 われらがアントラーズも決して誉められた状態にはない。柳沢がイタリアへ移籍し、鈴木もベルギーへ戻り、長谷川が引退。最前線の駒を一気に三つも欠き、それなのに補強はゼロという、攻撃力があきらかに低下した状態でセカンド・ステージに臨んでいる。しかもファースト・ステージ終盤はトニーニョ・セレーゾと選手との軋轢{あつれき}が報じられたりして、なにやら胡散臭い雰囲気が漂っていた。セカンド・ステージの初っ端からつまずきたくはない。これは結構大事な一戦だった。
 でも、結果から言ってしまえば、試合には勝ったものの、内容的には安心できるものではなかった。小笠原の見事なFKで上げた一点をどうにか守り切っての辛勝だった。危ない場面はそれほどなかったけれど(藤本や酒井が控えだったのにも助けられた?)、残り5分でマークが外れてウェズレイにキーパーと1対1でシュートを打たれてしまう致命的な場面があったりしたし、あいかわらずパスミスも目立った。ディフェンスには決して安定感があったとは思えない。まして攻撃においては、見るべきところがほとんどなかった。
 やっぱり一番気になったのは本山の運動量のなさ。なんで彼はあんなに動かないんだろうか。もっともっと自分からボールに触りにいかないと話にならないと思う。せっかくの才能がそろそろ錆びつき始めているように感じる。10番があの程度のプレーをしていたのでは苦戦するのももっともだ。小笠原や中田浩二と比べるとどうにも見劣りがして仕方なかった。後半なかばで交替させられたのも当然だと思う。セカンド・ステージのアントラーズの命運は彼が握っていると言っても過言ではないんじゃないだろうか。でもその結果はかなり悲観的なものに感じられてしまう。ああ。
 ファースト・ステージが始まった当初の期待の高さはどこへやら。どうも今年はセカンド・ステージも駄目な気がしてきた。
(Aug 17, 2003)

日本3-0ナイジェリア

キリン・チャレンジカップ/2003年8月20日(水)/国立霞ヶ丘競技場/TBS

 クラブと良好な関係を保ちたいから、選手の無理な招集は見合わせる。かつてはそう言っていたジーコだけれど、ワールドカップのアジア予選が来年2月から始まることが決まり、そんな呑気なことは言ってられなくなったらしい。ヨーロッパ各国のリーグ戦が始まろうというこの大切な時期に、中田英寿、俊輔、稲本、高原はもとより、イタリアに渡ったばかりの柳沢までを呼び戻した。これで勝てなかったらば、さぞ世間の風が冷たかったろう。いやいや、勝ってよかった。
 スタメンは基本的にはコンフェデレーションズ・カップのメンツ。それに調子がいいから見てみたいと、大久保に代えて柳沢を起用。あと、この前は川口を試したし、楢崎の実力はわかっているので、彼も一度は実戦で試してみたいと曽ヶ端をGKに起用してきた。
 対するナイジェリアはチームの半数が試合前日に来日するという強行軍。しかも若手中心の準A代表といったメンバー構成だったようだ。まあ、それでも身体能力は高いし、やたらとスピードもある。チームとしてはあまり機能していなかったみたいだけれど、一対一の場面ではそうした能力の高さを十分に見せてくれた。そういう意味では強過ぎず、弱すぎず、日本代表の現状を考えるとそこそこいいマッチメイクだったんじゃないかと思う。
 僕はこれまで日本代表のゲームを見たあとで、中田英寿について書いたことがあまりない。それは彼のプレーがいつでも一定水準で安定していて、今さら誉めたり、ケチをつけたりする余地がないからだ。しかし今日の彼はパスミスが妙に多かったりして、珍しく出来が良くなかった。それでも日本はナイジェリア相手に3-0で勝ててしまう。ヒデ頼りと言われていた頃が嘘のように今の代表は頼もしい。なんたって4バックの両サイドがアレックスと山田だ。両方とも本職はMFで攻撃力には定評のある選手だし、彼らが攻撃に加われるようになると当然攻撃の幅も広がる。今日の試合は見ていてとても楽しかった。
 1点目は開始わずか1分。アレックスのクロスを右足でワントラップした高原が、左足を振り向いて見事にゴールネットを揺らせて見せてくれた。GKが反応できないほどのビューティフルなゴールだった。2点目も高原で、今度は俊輔のクロスにヘッドであわせた。まさにストライカーという活躍ぶり。どうもツートップの片方は彼の指定席になりそうだ。
 3点目は後半、オフサイド気味(ぎりぎり?)で飛び出した遠藤保仁が落ち着いて代表初ゴールを決めた。遠藤、いいよなあ。僕は彼が大好きだ。でもなあ。
 ジーコは小野が戻ってきたら、いったいどういうメンバー構成をとるつもりなんだろう。今はアレックスをDFに起用したマイナスを、遠藤が攻守にわたる精力的な働きで埋めている状態だと思う。そんな彼を外すのは危ない気がするけれど、かといって小野ほどの選手を控えに置くのはもったいなさ過ぎる。その辺のジレンマをどのように解決するか。ジーコの監督としての真の力が試されるのは、小野が怪我から戻ってきてからになるんだろう。さてどうなることやら。
 今日の試合では全体的にディフェンスに対してすごくポジティブな印象があった。結構危ない場面を紙一重でしのいでいる場面が多く、みんなでがんばって守っているぜという感じが非常に伝わってきた。だから完封できたのはとても大きいと思う。
 そんな中でも俊輔のディフェンスへの献身ぶりは非常に印象的だった。攻撃でも高原の2点目のアシストを始めとして、いくつもいいパスを出していたし、個人的にはMVPは彼にあげたい。いやあ、とても成長してくれていて頼もしい限りだ。
 今日の試合、唯一難を言えば、点差に余裕があったにもかかわらず、交替枠を大久保の一人分しか使わなかったことだろう。せっかく呼んだのだから、久保や松井、市川あたりのプレーを見てみたかった。どうもジーコのベンチでの腰の重さにはじれったい思いを否めない。
 最後に。今日のレフェリーはなんだかとてもレベルが低かったように思う。おかげで日本がかなり救われていた印象もあったけれど、それにしても柳沢がペナルティエリア外で相手GKと1対1になった場面で、相手がハンドでプレーを止めたのにもかかわらず、レッドカードが出るどころか笛さえ吹かれなかったのは論外だろう。困ったもんだ。
(Aug 20, 2003)