2003年4月のサッカー

Index

  1. 04/05 ○ 柏1-2鹿島 (J1・1stステージ第2節)
  2. 04/13 ● 名古屋1-0鹿島 (J1・1stステージ第3節)
  3. 04/16 ○ 韓国0-1日本
  4. 04/29 ● G大阪1-2鹿島 (J1・1stステージ第6節)

柏レイソル1-2鹿島アントラーズ

J1・ファースト・ステージ第2節/2003年4月5日(土)/柏の葉公園総合競技場/BS1

 この試合、前半は柏の厳しいプレスに苦しんだ挙句、ミスから1点を献上して折り返す。失点は中田浩二が大岩から受けたパスの扱いにもたついたところを、リカルジーニョにボールをかっさらわれて、そのままシュートまで持ち込まれてしまったものだった。中田の場合、ワールドカップでのトルコ戦での失点につながった場面といい、大事なところでポカが多い印象がある。これから世界を目指すならば、その辺はなんとかして欲しい。
 そんな風にミスから先制を許してしまいはしたけれど、この日の試合ではレイソル平山の芸術的なループシュートがバーを叩く一方で、後半早い時間にFKからのこぼれ球がフェルナンドの同点ミドルへとつながったあたり、運は鹿島に味方していたように思う。
 同点になれば経験の差が出る。決勝点は素早いカウンターからの──平山にお返しをするかのような──小笠原の落ち着き払ったループシュートだった。後半のオガサは実に堂々たるプレーぶりでピッチに君臨していた。今日のMVPは間違いなく彼だろう。
 ただ、開幕ニ連勝は当然嬉しいものの、今日の試合での終了間際の時間稼ぎには、いまひとつ感心しなかった。まだシーズンも始まったばかりだし、なにもあそこまで露骨なプレーで逃げ切る必要がある試合でもないだろう。どう見ても力が上のチームがああいうプレーをしているのを見ると興醒めしてしまう。お前はサッカーを知らないと言われたってかまわない。どうせならば最後まで攻めて気持ちよく勝って欲しかった。
 この試合の一番の朗報は柳沢の戦線復帰だ。最後の15分だけの出場だったけれど、十二分にその才能を見せつけてくれた。動きはいいし、決まってもおかしくないようなナイスなシュートだって二つもあった。今年のヤナギには期待してもいいかもしれない。やはり彼と比べてしまうと今の平瀬は力不足の感が否めない。一時期はかなりその差を詰めてきたなと思っていたのだけれど、いつの間にやらまた随分と開いてしまっていた印象だ。次節のスタメンは交替必至だろう。
(Apr 05, 2003)

名古屋グランパスエイト1-0鹿島アントラーズ

J1・ファースト・ステージ第3節/2003年4月13日(日)/豊田スタジアム/BS1

 今年の名古屋はウェズレイとヴァスティッチという強力な2トップに加え、トップ下にはJ2に降格した広島から藤本を獲得。このトライアングルの出来次第では非常に恐い相手だ。けれどこの試合ではそのうちもっとも危険なウェズレイが欠場。これで開幕三連勝は決まりかと思っていたらば、こちらも復帰したばかりの柳沢が前日の練習で左膝の打撲で全治一週間の診断を受けたとかで欠場。両チームともエースを欠いての対戦となった。
 試合内容は圧倒的に鹿島優勢。前半こそ名古屋にもそれなりのチャンスがあったものの、後半に入ってからは鹿島が一方的に攻めまくっていた印象だった。少なくてもシュート数と決定機の数では圧倒していた。もしもそのうちの一本でも決まっていれば、鹿島が3-0とかで勝っていたかもしれない。ところがそうはいかない。フリーのチャンスを得たエウレルや平瀬のシュートが、惜しいところで枠を外れる。間一髪で名古屋のディフェンダーに邪魔される。楢崎に止められる。
 そうこうしているうちに試合も終盤になって、名古屋に逆襲を食ってラインを崩され、失点を喫してしまう。後半、藤本が仕事をしたのはあの場面だけじゃないだろうか。彼が右サイドから粘ってあげたクロスを、ゴール右に切れ込んできた7番中村が上手くトラップして、ゴール前でフリーになっていたヴァスティッチへ完璧なアシスト。ポスト脇でシュートコースをふさいでいた名良橋のジャンプも及ばず、ヴァスティッチのヘッドはゴール左上に突き刺さった。名良橋の背がもう十センチ高かったらば止められたのに。残念無念。
 ということでアントラーズの開幕ダッシュは{はば}まれた。それでも順位は首位F・マリノスまで勝ち点差1の4位。まだまだいける。
 そうそう、前節に引き続きこの試合でも後半途中からの出場となった深井。身長わずか161センチという、マラドーナのようなずんぐりとした体形のこの小さな新人はなかなか良さそうだ。もう少し長く見てみたい。
(Apr 15, 2003)

韓国0-1日本

2003年4月16日(水)/ソウル・ワールドカップスタジアム/TBS

 国際マッチ・デー(世の中にはそんなものがあるらしい)でないということで、海外移籍選手は招集されず。さらにFWの新戦力として期待された黒部、久保の二人が怪我のため、あいついで出場辞退という事態になった。
 代表監督としての初戦では勝っておかしくない試合を引き分けに終わり、2戦目は御母堂が亡くなったため指揮を取れず、先月のアメリカ遠征はイラク戦争のために中止。そして今回はもっとも駒不足の感のあるFWの選手四人のうちの二人もが故障。まったくジーコは呪われているんじゃないかと思いたくなる展開だ。
 あれだけの経歴を誇りながらブラジル代表としては一度もW杯での優勝を経験していないということからして、ジーコという人は代表では一生つきがない人で、その運命を日本にまで抱えてきちゃったんじゃないだろうかと馬鹿なことを思い始めていた。ところがこの試合の結末はこれまでの3試合での不運に引導を渡すようなラッキーなものだった。
 主役を演じたのは代表を辞退した二人に代わって急遽招集され、この試合では後半から出場していた奥と永井。ロスタイムに奥からのロングフィードを受けた永井がゴール前へ切り込んでいったものの、ドリブルが長くなってしまい、相手DFにボールを奪われかける。
 ところが相手がクリアしようと蹴ったボールが、永井の足にあたって絶妙なループシュートになり、これがゴールネットを揺らしてしまったのだった。大声援を送っていた6万の韓国サポーターは声を失い、日本のファンはおもわず笑ってしまうようなあっけない幕切れ。いやあ、これがサッカーだ。
 この試合の日本は楢崎、名良橋、秋田、森岡、服部、小笠原、中田浩二、福西、アレックス、中山、山下という布陣。後半初めから山下に代わって奥が入り、アレックスがFWへ上がる。この日の主役、永井雄一郎が中山に代わってピッチに立ったのは残り時間が15分を切ってからだった。
 ディフェンスでは連係ミスからいくつか危ない場面もあったものの、それでも韓国の猛攻を無失点にしのいだのだから評価してもいいと思う。
 福西、中田浩二のボランチ・コンビを高く評価する声もあるけれど、福西はともかく、浩二がどうよかったのか、僕には全然わからなかった。
 小笠原、アレックスの二人は、代表としては初めてフル出場を果たした。小笠原は惜しいループシュート以外にこれといった見せ場のなかった前半はともかくとして、後半になってからは、中盤で抜群のキープ力を見せて存在感をアピール。ようやく代表でもそのポテンシャルを発揮して見せてくれた。
 その点では奥も同じ。後半の頭からの出場で、トルシエの時には見られなかった積極的なプレーを展開していた。この二人のプレーぶりにこそ、チームの型に選手をはめようとしたトルシエと、選手個々の能力をチームに還元しようとするジーコとの違いが顕著に表れているように思う。
 あと印象に残っているのは中山のシュートミス。隊長は後半17分に名良橋から決定的なアシストをどフリーで受けながら、見事にシュートをふかしていた。なんで日本人はあんなにシュートが下手なんだろうと、とりあえず楢崎の真正面であっても枠を捉えるシュートをガンガン打ってくる韓国の選手のプレーを見ながら不思議に思った。
 とにかくシュート打ちまくりの韓国と、パスワークはいいものの、ゴールまでボールを運べない日本という、両国の特徴がはっきり出た試合だった。
 その結果だろうか、全体的に日本が韓国の猛攻を耐えしのいで、ラッキーにも勝利を拾ったという論調が多いように思う。けれど僕の目にはそれほど日本が圧倒されていたようには見えなかった。韓国はシュートの数こそ日本の倍近いけれど、そのうちマジで危ないと思わされたのは2、3本だ。あとはGKの正面をついたり、DFが十分に対応できていたりで、得点されそうな印象は受けなかった。一方の日本では中山や小笠原のシュートなど、数こそは少ないものの、決定的な場面はいくつか作り出せていた。
 そもそも前半なんか、あまりに韓国のプレスがゆるいのでびっくりしたくらいだ。とても日本が圧倒されていたという感じではなかった。アウェイのゲームで6万の大観衆を味方につけた韓国相手にこれだけ戦えれば十分だろう。ロスタイムのゴールはサッカーの神様から日本へのささやかな贈り物だと思う。
(Apr 17, 2003)

ガンバ大阪1-2鹿島アントラーズ

J1・ファースト・ステージ第6節/2003年4月29日(火)/万博競技場/BS1

 本山復活! いやいや、よかった。このところチーム戦術の要といった感じになっていたトリプル・ボランチのうち、青木を五輪代表に取られ、フェルナンドは累積警告で出場停止。本田がいるから一枚はいいものの、昨日来日した新外国人クラウデシールは間に合うはずがないし。あと一人はどうするんだろうと心配していたのだった。前節からベンチ入りしていた本山がこの試合から先発で使えるとは嬉しい誤算だった。あ、でも代わりに名良橋まで怪我をしたらしく、この試合では内田が右サイドに入っていた。
 ということで復帰した本山の動きは如何{いか}にと、そればかりが気になったゲームだったのだけれど……。
 前半はガンバの両サイド、左の新井場、右のチキアルセ(パラグアイ)が効きまくってガンバが攻勢。わずか9分に左ポストを叩いたシュートの跳ね返りを受けて、二川が放ったループシュートが逆サイドのポストに当たってゴール。先制点を奪われてしまう。
 しかしながらそこはアントラーズ。前半のうちに同点に追いつく。小笠原がセンター・サークル付近から放り込んだロング・ボールに本山が反応。素早い反応で同点シュートを叩き込んだ。本山の場合、ああいう場面での落ち着きはチームの日本人では一番だ。
 その後の試合は、ボールのキープ率は鹿島の方が高いものの、たまのチャンスで惜しい場面を作る回数ではガンバが上回るといった感じの展開で、後半に入っても得点は動かない。そして鹿島、リーグ戦初の引き分けかと思われた後半ロスタイム。ゴール前のプレーで(多分)柳沢がつぶされ、そのこぼれ球を拾った深井(両方とも後半途中からの出場だった)が上手いことDF二人をかわしてゴール前へ切れ込む。これをたまらず宮本が倒してしまった。やや深井のシミュレーションっぽくもあったけれど、判定はPK。これをエウレルが決めてゲームセット。鹿島が幸運な勝ち点3をゲットした。
 まあ幸運とはいっても、その運を運び込んだのはこの前の韓国戦の永井の決勝ゴールと同じで、最後まで諦めずにゴール前に詰めていった柳沢や深井のプレーだ。その前のプレーで一瞬ガンバのディフェンスの動きが止まっていた。勝負の分かれ目はその一瞬だった。
(Apr 29, 2003)