2002年9月のサッカー

Index

  1. 09/07 ● 鹿島1-2磐田 (J1・2ndステージ第2節)
  2. 09/15 ○ 東京V2-3鹿島 (J1・2ndステージ第3節)
  3. 09/21 ● 柏1-0鹿島 (J1・2ndステージ第5節)
  4. 09/28 ○ 鹿島3-2市原 (J1・2ndステージ第6節)

鹿島アントラーズ1-2ジュビロ磐田

J1・セカンドステージ第2節/2002年9月7日(土)/カシマスタジアム/BS1

 3日前にナビスコカップ準々決勝で対戦した磐田との連戦。その試合で故障したファビアーノに代わって池内がセンターバックに入った。対する磐田は何故かヴァンズアムが欠場。代わりに山本という選手がゴールマウスを守っていた。
 セカンド・ステージの優勝を狙う上では絶対に負けられないこの一戦、序盤の鹿島は磐田の厳しいプレスに苦しみ、ペースをつかめなかった感じだった。決定的チャンスの数では磐田が上回るものの、シュートミスで助けられていた印象だった。
 それでも前半の中頃からは鹿島のキープ率が高くなり始める。中盤でのボールの奪い合いにとても見応えのあるゲーム展開のまま、前半は0-0で終了。
 後半早々、鹿島は右サイドからボールを持ち込んだ西に、不意をつくような見事なゴールを決められてしまう。そしてさらなる暗雲が垂れ込めたのはそれからわずか5分ばかりが過ぎた時だった。ゴール前でGKと接触したエウレルが負傷退場してしまう。
 1点ビハインドで、さあこれから追い上げるぞというタイミングでのこのエースの退場が、残念なことにチームから覇気を奪ってしまったような印象を受けた。トニーニョ・セレーゾはエウレルの代わりに内田を投入してアウグストを中盤に上げ、さらに残り20分も残った時点で本田、池内に代えて、青木と長谷川を投入、3バック気味の攻撃的なフォーメーションで攻めに出た。それでもどうにも決定的なチャンスが作れない。選手たちが梅本主審の判定に苛立つ姿が目立ち始める。
 そんなまま時間も過ぎて終了間際、早いリスタートを止められて苛立った小笠原が、強引に打ったミドルシュートが磐田DFにはじかれて相手ボールに。これを高原が一人でゴール前に持ち込み、フェイントでDFをかわして追加点をあげる。これで勝負ありという感じだった。ロスタイムの5分が過ぎた後、CKのこぼれ球を名良橋がミドルで決めて、宿敵・磐田相手にとりあえずわずかばかりの意地を見せはしたものの、セカンド・ステージの優勝を狙うには痛すぎる一敗を喫した。
 柳沢が何度かあったチャンスを、せめてひとつだけでも決めていてくれたならばと思わずにはいられない。彼は絶対もっとシュート練習が必要だ。小笠原、本山はともにいまひとつだし、浩二も精彩を欠いていたし、どうにも消化不良な印象が残ってしまって仕方ない。ジュビロの出来もいまひとつで、勝てない相手に思えなかっただけになおさらだ。結局、西と高原のゴールへの意欲の前に屈したという印象の一戦だった。今年の優勝はないと見た。
(Sep 07, 2002)

東京ヴェルディ2-3鹿島アントラーズ

J1・セカンドステージ第3節/2002年9月15日(日)/国立競技場/BS1

 セカンド・ステージが始まって二連勝と好調のヴェルディとの対戦。オールスター以来、エジムンドがすっかり株を上げている印象がある。加えて平本、桜井、田中隼磨といった若手が威勢のいいプレーを見せてくれていて、このチームは意外とあなどれない。
 対する鹿島はファビアーノとエウレルを故障で欠くため、本山をトップに、アウグストを中盤に上げて、バックラインに池内、内田を起用する布陣。故障明けの熊谷もベンチスタートだし、なかなか苦しい。
 両チームのチーム状態の差は前半15分に早くも得点として表れる。ドリブルで上がったヴェルディの若手がゴール前で見事な連携プレーを見せたのに対し、鹿島の方はこれを名良橋が倒してPKを取られてしまう。このPKをエジムンドが落ち着いて決めてヴェルディが先制。
 続いての得点もヴェルディだった。後半途中、反撃に転じようと本田に代えて長谷川を投入した直後に、またもや右から(多分平本に)ドリブルで持ち込まれ、ダイナミックなシュートを打たれてしまう。このシュートは曽ガ端がどうにか防いだものの、そのこぼれ球にエジムンドが詰めていた。ドッカン。
 これで2-0。イカン、早くも勝負あったかと思った。ところが。
 実はこの試合、前半40分に田中隼磨がゴール前で柳沢をうしろから倒して一発レッドで退場になっていた。試合も終盤になってこの退場のダメージがヴェルディに出始めたらしい。さらに池内を引っ込めて熊谷を投入したセレーゾ監督の攻撃的な采配が当たった部分もあるんだろう。後半もなかば過ぎたあたりから鹿島が怒涛の反撃を見せる。
 まずは70分に内田のクロスから本山がヘッドで1点差に追いあげ、さらにその11分後、今度は小笠原のグラウンダーのクロスを、ゴールの真正面でフリーになった長谷川が左足で決めて同点。最後はアウグストがCKからのこぼれ球をつま先で突くようにゴールへ放り込む。残り2分でついに逆転。そしてタイムアップ。2-3で鹿島が貴重な勝ち点3をゲットした。前日ジュビロがレッズ相手に黒星を喫しているだけに、3連覇を狙うチームにはこの白星はでかい。
 いや、それにしても厳しい試合だった。正直なところ、田中が退場になっていなかったら負けていたかもしれない。あのレッドカードの判定は誰の目にも不可解だったらしく、ヴェルディのロリ監督は試合後のインタビューでは怒り心頭だったみたいだ。
 この日のレフェリーは上川さん。元日の天皇杯決勝では落ち着いたジャッジを見せ、ワールドカップへの出場も当然かと思わせたものの、その後はどうも納得のいかない判定が多い感のある人だ。この日の一点目のPKだって、取らなくたって誰も怒らないようなプレーだった(と僕は思う)。そのほかにもゴール前で勢い余ってGKと交錯した名良橋に対するイエローなどは、なんでだって感じだった。
 レッドカードを出された田中の問題のプレーは、追っかけている際に膝が当たって倒してしまったという印象のプレーだった。手をつかって止めたというならばともかく、あれはイエローならばともかく、どう見てもレッドには値しないだろう。アントラーズがこの判定による人数差に助けられたのは確かだけれど、それでもU-21代表として注目を集める田中隼磨の退場が、試合の楽しみの一部を殺いだ部分があるのは否めない。少なくても僕は田中のプレーがもっと見たかった。疑問が残る上に残念なジャッジだった。
 なにはともあれ、アントラーズはファビアーノの穴が池内では埋められないことが如実。本山よりもアウグストに中盤を任せた方が攻撃の形が出来るというのもねえ。あとやっぱり柳沢。あいかわらず楔のパスばかりを連発する彼のプレーには失望を通り越して腹まで立ってきた。もっと自分でボールをキープするようなプレーをしてくれないもんだろうか。
(Sep 17, 2002)

柏レイソル1-0鹿島アントラーズ

J1・セカンドステージ第5節/2002年9月21日(土)/柏の葉公園総合競技場/TBS

 セカンド・ステージから柏の指揮を取るアウレリオ監督は、大野、加藤、北島、渡辺毅という、これまでチームの主力だった選手を起用せず、三人のブラジル人と若手を中心とした新しい布陣で最近の試合を戦っているらしい。この試合ではスタメン出場していた渡辺光輝さえ、前の試合では控えだったというから驚く。おかげでレイソルの日本人フィールド・プレイヤーで知っているのは薩川と平山だけだった。対する鹿島は前々節と同じアウグストを中盤に配した布陣。
 ファースト・ステージのジュビロとの最終戦でこの競技場の芝を見た時には、そのひどい状態に呆れたものだけれど、この日の試合ではさらに呆れさせられる羽目になった。一見して芝が剥げたところが目につかなくなっていたので、まあ美しいとは言わないまでもそれなりに修復が進んだんだろうと思ったらさにあらん。時々プレーをする選手の足元で不思議な水しぶきのようなものが舞い上がる。あれ、試合前に雨でも降っていたのかなと思ったらば、なんとそうではなかった。それは砂煙だった。なんでもあまりに芝の状態が悪いので、それを誤魔化すために緑色の砂を撒いたんだという。なんてふざけたチームだ。フロントがそんな調子では選手たちも可哀想だ。降格争いのピンチにあるのも当然に思えてしまう。
 なんにしろそんなひどい状態のピッチで行われた試合。前半は鹿島有利の試合運びながら、スコアレスで終わる。本山からいくつか素晴らしいラストパスが出ていたし、名良橋、小笠原、本山、柳沢らの間でうっとりするようなパス回しを見せてくれたりもした場面もあったので、これはいけるという手ごたえを受けた。
 ところが後半が始まって間もなく右サイドから崩されて、貧相な外見(失礼)の柏の新ブラジル人、リカルジーニョに先制のゴールを許してしまう。勝てると油断していた相手に対するこの思わぬ失点ですっかりチームのリズムが崩れてしまったようだ。その後は有効な攻撃も仕掛けられずに終わってしまった感じだった。
 やはりファビアーノの穴、ということになるんだろう。ここのところ3試合連続で先制ゴールを許してしまっている。内田も池内も正確なキックを持っているので悪くはないんだけれど、やはりディフェンス力にはややもの足りないものを感じてしまう。
 それとあいかわらずゴール前の決定機にシュートを外しまくる柳沢には、より一層のシュート練習を望む。エースがあんなに外してばかりいたら、やはり勝てる試合も勝てなくて当然だ。翌日のジュビロの試合では、高原が4得点と大爆発していた。どちらが日本代表のエースかは考えるまでもないという状況になってしまっている。ああ。
(Sep 23, 2002)

鹿島アントラーズ3-2ジェフ市原

J1・セカンドステージ第6節/2002年9月28日(土)/カシマスタジアム/BS

 二日酔いのため、横になったままだらだらと見てしまった一戦。アントラーズのスタメンはこの前と同じ本山をトップに、アウグストを中盤に配した形だった。
 キックオフから十分ほどはジェフの中盤での厳しいチェックにボールを奪われてばかりいて、かなり苦しい印象だった。でもその後エンジンがかかり出してからは終始ゲームを支配するという、このところの典型のような展開になる。でもって前半の残り5分を切った時間帯に、本山がペナルティ・エリア内で倒されてPKをもらう。これを柳沢が決めてアントラーズが先制した時点では、楽勝かと思った。
 ところが後半も早いうちにこの1点のアドバンスを奪い返されてしまう。ジェフの村井という選手が強引に放った見当外れのミドル・シュートが、ジェフのFW林の背中に当たってゴールネットを揺らしてしまったのだった。あれでは曽ガ端も反応のしようがない。シュートを狙える位置では積極的に打っていくべきだという意見の正しさを証明するかのようなラッキー・ゴールだった。
 鹿島はさらにそれからわずか5分で逆転のゴールを許してしまう。曽ガ端がペナルティ・エリアを飛び出してヘディングでクリアしようとしたボールが相手に渡ってしまったのだった。このボールを得た林は、やや離れた位置から無人となったゴールへループシュートを決める。簡単そうでいて、なかなか落ち着いたいいシュートだった。やられた。
 実は僕はこの日、6時から野音にエレカシを観にゆかなければならなかった。3時キックオフだったこの試合が終わるのは早くても5時。家を出るにはぎりぎりの時間だ。つまり延長戦を見る時間は僕にはなかった。1点ビハインドで時間は刻々と過ぎていく。ああ、このまま負けか、それとも延長突入で結末は見れずに終わるのかと憂鬱な気分になった。
 ところが。このピンチをアントラーズは見事に切り抜けてくれた。残り15分という時間帯に本山(!)からのFKを中田浩二が決めて同点。さらには残り3分でまたもやアウグストの決勝ヘッドが決まる。逆転勝ちで勝ち点3。やってくれたぜ。マジで嬉しかった。
 なんと言っても貴重だったのは本山がセットプレーの基点となって上げた同点ゴールだ。前々から僕は本山がプレイス・キックを蹴らないことをとても不満に思っていた。最近は中田浩二が蹴ることもある。途中出場で野沢が蹴ることもある。なのになぜ本山が蹴らないと、常々不満に思っていた。彼のキックの精度は決して低くないはずだと確信している。それだから中田浩二に蹴らせるよりはむしろ、ヘッドを生かせる彼をターゲットにして本山にもっとセットプレーを蹴らせるべきだろうとずっと思っていた。それがこの日は見事に実現して同点に追いついたんだから、当然のごとく、やたらと嬉しかった。
 まあこの日のあのキックは、小笠原が離れたところにいたから蹴ることにしたというのが本当のところらしい。でもあれだけのセンスを持っているのだから、そんな消極的なことではなく、もっと積極的に自分から蹴るチャンスを得るよう努力して欲しいもんだと思う。中田浩二が蹴るのは彼が左利きだというのもあるだろうけれど、確実に本人の意欲によるものだろう。本山にも小笠原や中田からボールを奪い取って「おれに蹴らせろ」と言ってしまうような強い意思を見せて欲しい。
 あとエウレル不在の今はFWでの起用は仕方ないかと思うものの、やはり彼は中盤でプレーした方が生きると思う。実際この日の逆転劇を実現できたのは、終盤になって彼を中盤に下げたフォーメーションを取るようになったことが大きい。本山がようやく鹿島の戦力として機能し始めた印象があるこの頃だ。やはりFWをもう一枚獲得して、本山はMFに固定して使ってもらいたい。ああ、なんで鈴木と平瀬を放出しちゃったんだ、まったく。
 そのほか、この日の試合で印象的だったのが、ボランチ本田の果敢な攻撃参加だった。2本ほど見事なパスを通して決定的なチャンスを演出して見せてくれた。どうしたんだとかなりびっくりさせられた。キャリアも終盤を迎えつつあるというのに、若手に触発されて新境地を開いたんだろうか。ま、それもまたよかろう。ベテランの思わぬ活躍は若手のそれに負けず劣らず嬉しいから。
(Oct 04, 2002)