小石川近況
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2025-04-11 | 映 | 『エイジ・オブ・イノセンス』 New! |
2025-04-09 | 蹴 | J1 第9節・鹿島-京都 |
2025-04-06 | 本 | 『マルドゥック・アノニマス5』 |
2025-04-04 | 蹴 | J1 第8節・広島-鹿島 |
2025-04-01 | 蹴 | J1 第7節・鹿島-神戸 |
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エイジ・オブ・イノセンス
マーティン・スコセッシ監督/ダニエル・デイ=ルイス、ミシェル・ファイファー、ウィノナ・ライダー/1993年/アメリカ/DVD
原作を読んだので、せっかくだから映画版も観てみた。
うちの奥さんが若い頃にミシェル・ファイファーが好きで、ウィノナ・ライダーは僕ら世代の男どもにとっては特別な存在だったので、そのふたりが共演したこの映画は公開当時に映画館で観ているはずなのだけれど、記憶がさだかでない。少なくてもあまりいい印象は残っていないし、今回三十年ぶりとかで観直してみても、とくべつ好きになったりはしなかった。
でもまぁ、それも当然かなと思う。基本的に僕はフォーマルなものが苦手だし、時代劇や歴史劇にも興味が薄いので。
十九世紀のニューヨークの上級階級の社交界を舞台にしたこの恋愛劇は、ファッションはフォーマルウェア・オンリーで、登場人物の行動原理もその時代の因習に縛られているがゆえ、いまいち共感を呼ばない。
同じく十九世紀が舞台でも、『プライドと偏見』などジェイン・オースティン作品の場合は主人公の明るさやコメディ要素で楽しく観られるのだけれど、この映画の場合はユーモアはゼロの不倫劇だから、なおさらとっつきにくい。
原作を読んだばかりだから、それとの対比でけっこう興味深くは観られたけれど、これを映画単品で観た二十代の自分は、そりゃ楽しめなかったのも当然だなと思った。
なぜ『タクシードライバー』のマーティン・スコセッシがこういう映画を撮ろうと思ったんだろう? と当時は疑問に思っていたような気がするけれど、今回はそういう疑問はなかった。
その後に観た『救命士』や『ギャング・オブ・ニューヨーク』、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』など、スコセッシはニューヨークの裏表に生きるさまざまな人々の姿を描くことをある種のライフワークにしている節がある。
十九世紀のニューヨークの社交界を描いたこの映画は、スコセッシにとっては彼のニューヨーク・サーガの一環として撮るべくして撮った映画だったんだろうなと。
いまさらながらそう思った。
(Apr. 09, 2025)
鹿島アントラーズ3-4京都サンガF.C.
J1・第9節/2025年4月6日(日)15:00~/カシマサッカースタジアム/DAZN
まさかの大逆転負けをくらい、ホーム無敗記録が27で途絶えた痛恨の京都戦。
まずは荒木遼太郎がスタメン!――ってことで盛り上がった試合だった。
柴崎、松村も戻って、先発は早川、濃野、植田、関川、安西、樋口、柴崎、荒木、松村、レオ・セアラ、優磨という11人。小池が今季初めてスタメンを外れた。あと前節途中交替したチャヴリッチもベンチ外。
このメンツでの前半は文句なしの出来だった。ゴール前のスペースがないところで、柴崎→優磨→レオ・セアラとパスがつながって生まれた1点目、左サイドのFKから、ファーで植田が右足で折り返したボールをレオ・セアラが決めた2点目とも、見事なゴールだった。
こちとらホーム無敗記録更新中だし、京都は過去に一度もカシマスタジアムで勝ったことがないという。前半で2-0としたこの状況で、その記録が止まることになるなんて、思ってもみなかった。
雲行きがあやしくなったのは後半に入ってからだ。
セイフティーリードで油断したのか、後半頭から三枚替えしてきた
なんか不安定だなぁと思って観ていたら、後半18分に失点。原大智に右サイドの突破を許したところから崩され、最後は奥川という選手にこぼれ球を決められた。
この失点のあとで鬼木が動く。荒木、松村、柴崎をさげて、小池、師岡、三竿を投入。攻守のバランスでいえば、「守」に比重をかけた守りの采配だった。
でもこれが機能しない。まるで流れが変わらない。結局、その後に相手の9番、ラファエル・エリアスにたてつづけに2ゴールを許して逆転を許すまさかの展開に……。
うわー、負けかと思った後半のアディショナルタイム。
師岡が個人技で見事なミドルシュートを決め、なんとかドローに持ち込んだかと歓喜したのもつかの間。そのわずか3分後にラファエル・エリアスにまたもやゴールを許し、ハットトリックを決められてしまう……。
まさかの大乱戦で鹿島のホーム無敗記録は幕を閉じた。
去年も2点差をひっくり返された試合が何度かあったけれど、今年は鬼木体制になって、最終ラインは去年から継続したメンバーで安定しているし、そういうことはないだろうと思っていたのに、またもや同じことを繰り返す羽目に……。
気になったのは関川の守備。リプレイで確認したところ、1点目と4点目は彼がマークにいった選手を止めきれなかったところからの失点だったし、ラファエル・エリアスの最初の2点も関川のマークがはがれていた。
このところのチームの守備の安定は関川の成長によるところも大きいのだろうと思っていたけれど、この日の出来を見るかぎり、まだまだ日本代表に呼ばれるレベルには達していないんだろうなと思ってしまった。
鬼木の采配にも疑問が残った。逆転を許したあと、優磨→田川、樋口→キム・テヒョンとカードを切ってきたけれど、連戦の疲れのある優磨はともかく、なぜ負けている状況でDFのキムを投入して3バックにする? その守備的な交替が機能せずに、4失点目を許しての逆転負けだけに、この選手交替は大いに疑問だった。
あとセットプレーのキッカーを荒木が務めていたのも若干疑問。今期も樋口がキッカーとして素晴らしい精度を誇っているのに、なぜにその樋口ではなく、これまで冷遇してきた荒木?
2点目は荒木のキックから生まれているから文句をいうのはおかしいかもしれないけれど、これまでとは違うことをしたせいで、チームのバランスが微妙に狂ったのが敗因のひとつのような気がしている。
まぁ、いずれにせよ鹿島にとっての最大の誤算は、ラファエル・エリアスという決定力のあるFWの存在だった。去年途中移籍してきてからわずか15試合で11ゴールを決めたという得点力は伊達じゃなかった。あれを止められるようにならない限り、世界では戦えない。
あと原大智もよかった。同点ゴールのアシストを決めたクロスは見事だったし、攻守にハードワークしていて好印象。そしてでかかった。191センチですって。DFのアピアタウィア(入力しにくい名前ランキング上位)も192センチあるそうだし、スタメンに身長190センチ越えの日本人が二人もいるのも珍しい気がする。
京都には元鹿島の平戸と須貝もいた。1点目のゴールは平戸のシュートの跳ね返りを決められたもので、3点目の逆転ゴールをアシストしたのは須貝だった。
古巣相手に自分たちも活躍して劇的な勝利をおさめたふたりは感無量だろう。ちくしょうめ。おめでとよ。
ということで鹿島は痛恨の連敗で暫定首位から陥落。町田、広島に抜かれて3位に落ちた。まぁ、まだまだ先は長いのでいまの順位はどうでもいい。こういう負け方はもう二度としないようお願いしたい。
(Apr. 08, 2025)
マルドゥック・アノニマス5
冲方丁/ハヤカワ文庫JA/Kindle
最新時間軸はウフコック救出劇のつづき(まだまだ終わらない)。〈クインテット〉のナンバーツー、バジルと対峙したバロットは交渉して戦いを避け、次なる敵〈誓約の銃〉(ガンズ・オブ・オウス)と遭遇する。
過去のパートではバロットとアビー(アビゲイル)やレイ・ヒューズとの信頼関係がいかにして築かれていったかと、彼女がウフコック救出へ向けた情報収集のため、ハンターの過去を探ってゆく過程が描かれる。
ラストは二十歳の誕生日を迎えたバロットが、手術を受けて声を取り戻す感動の名場面のあと、ハンターから二度目の接触を受けたところで幕!
――そんな『マルドゥック・アノニマス』の激動の第五集。
まずは最初のバジルとの対決がいい。法学生としての勉学とレイ・ヒューズをマイスターに迎えての修業をへて、戦わずして交渉術により敵を退けるすべを身につけたバロットの成長が感動を呼ぶ。『マルドゥック・スクランブル』のカジノでの対決シーンもそうだったけれど、単なるバトルだけではなく、説得力のある濃厚な頭脳戦を描けるのが冲方丁の強みだ。
敵対するハンターも前作で不幸な過去が明かされ、今回はシザース絡みで権力者たちにわれ知らず操られていることがわかり、さらには現在進行形では失踪中だという事実があかされる。ヴィラン連合的なチームも一枚岩ではないようだし、〈クインテット〉もいろいろ大変そうだ。
まぁ、なんにしろ今回はバロットがアビーを新たな家族として迎えるというのがいちばんの読みどころ。アビーからバロットが「ルーン姉さん」と呼ばれているのが、なんだかとてもこそばゆい。
(Apr. 06, 2025)
サンフレッチェ広島1-0鹿島アントラーズ
J1・第8節/2025年4月2日(水)19:00~/エディオンピースウイング広島/DAZN
開幕戦以来の黒星。やっぱ今季の広島は強かった。
鹿島のスタメンは早川、濃野、植田、関川、安西、樋口、船橋、小池、チャヴリッチ、レオ・セアラ、優磨の11人。要するに前節と同じだった。
勝ったら変えるなが定石とはいえ、中3日の過密日程の中でのスタメン固定。これはちょっと気になった。試合終了近くになると、小池や安西が足を釣っていたし、シーズン序盤のこの時期にそんなことで大丈夫かと思った。
試合は鹿島ペースで始まったのに、先制したのは広島。
前半22分にジャーメイン良の左サイドの突破から波状攻撃を受け、新加入の前田直輝にゴールを許してしまう。
前田、移籍が発表されてまだ一週間もしないのに、いきなりフィットしすぎだろー。ほんと手がつけられない活躍ぶりだった。
広島の最前線はジャーメイン良、前田、そして(本人に罪はないとはいえ)ACL2敗退の原因となってしまったフランス人、ヴァレール・ジェルマンと、全員新加入の選手たちだ。スーパー杯に出ていたアルスランは離脱中とかで、それでもこの完成度。今年の広島はやっぱり優勝候補の筆頭だ。
この試合では鹿島側には不運もあった。
前半にゴール前の接触プレーで頭を打って、その後は包帯を巻いてプレーしていたチャヴリッチが、しばらくしてプレーできなくなり交替してしまう。
いまだ特になんの報道もないから無事だと信じているけれど、すごく心配だった。
ということで、前半35分からは左サイドに師岡が入った。
あと、先制を許したあと、鬼木は小池と濃野のポジションをチェンジした。やっぱ濃野よりも小池の守備力を買っているのか、それとも濃野の攻撃力を生かしたかったのか。
いずれにせよ、SB三人をこの連戦中にフル稼働したつけとして、試合終盤に両SBの小池と安西がどちらも足を釣る事態を招いてしまい、安西はそれで交替になってしまったわけで。次節以降のSBの起用法はもっと考えて欲しい。
熱戦だったせいか、チャヴリッチだけではなく、早川とかも痛んでプレーを中断するシーンがあり、前半のアディショナル・タイムが12分もあった。そういう点でも、いまいち集中力が削がれる試合展開だったとは思う。
1点を追う展開ということで、鬼木の用兵はいつもより攻撃的だった。後半途中に船橋を柴崎に替え、さらには田川、三竿、そして松村と荒木を入れてきた(チャヴリッチが脳しんとうしたので、6枚の交替カードが使えた)。
荒木遼太郎が開幕戦以来の出場!――ってまぁ、出てきたのは87分だからプレー時間は短かったけれど。それでもボールを触ったときには切れのある動きを見せてくれていた。こういうプレーができるならば、もっと長いことプレーするところが見たい。
ひとつ前の文章では書き忘れたけれど、三竿は前節から復帰している(前節の途中出場は師岡、三竿、田川、松村)。かわりにこのところ知念がベンチ外。あとU-20の代表に招集されていた徳田が骨折してしまって長期離脱を余儀なくされるらしい。残念。
そういえば、広島も途中出場の中島洋太朗がどこかを痛めて、わずか5分で交替してしまうアクシデントがあった。とくに接触プレーがあったわけではないので、筋肉か関節系のトラブルなんだろう。若手の有望株が次々とプレーできなくなってしまう展開はなんとも残念だ。
このあともルヴァン杯を挟んで中2日の3連戦がある。怪我人が多いのは心配だけれど、なんとか無事に乗り越えて欲しい。
(Apr. 04, 2025)
鹿島アントラーズ1-0ヴィッセル神戸
J1・第7節/2025年3月29日(土)15:00~/カシマサッカースタジアム/DAZN
二連覇中の王者ヴィッセル神戸に勝って、ホーム無敗記録を27に更新! 2位の町田(今年も強いのか)に勝ち点3、それ以降のクラブには4以上の差をつけて、暫定首位から「暫定」の二文字が取れた。
代表ウィークを挟んだため前節からほぼ二週間ぶり。前の週のルヴァン杯一回戦からも一週間以上空いているから、スタメンはこれまで通りかと思ったら、意外や鬼木はふたりの選手を替えてきた。
ボランチには柴崎ではなく船橋を起用。そして左サイドの攻撃的なポジションは松村ではなくチャヴリッチを入れてきた。
ふたりともルヴァン杯に出場しているので、そのときの出来がよかったということなんだろうか。船橋は今年から背番号20を与えられているし、次世代の主力として期待されているのかもしれない。それにしてもキャプテン柴崎にベンチを温めさせたまま終わってしまうのは、いささか穏やかではない気が……。
あと、同じくルヴァン杯でひさびさのスタメン出場の機会を得たにもかかわらず、PKを失敗したという荒木が、今節も出番なしで終わってしまったのも心配の種。本当に彼は今後どうなってしまうのやら……。
まぁ、そんな風に心配な点はあるけれど、チームの状態はとてもよさそうだ。大迫、武藤という年間MVPふたりがスタメンに名を連ねた、ほぼベストメンバーの前年度王者――ベストと呼べないのは故障明けの酒井高徳が途中出場だったことぐらいだろう――をシュート3本に抑え込み、こちらはレオ・セアラの個人技から生まれた虎の子の1点を守り切ってのウノゼロでの勝利。これぞ鹿島という戦い方ができている。
レオ・セアラの決勝点は前半33分。起点はGK早川からのロングフィード。オフサイドポジションにいた優磨はプレーに関与せず、ゆっくり自陣へと戻ってくる。神戸のGK前川が前へ出してきてクリアすると誰もが思ったその瞬間。レオ・セアラが斜めに飛び込んできて、胸トラップでボールをかっさらい、着地後に相手DFと交錯しながら、爪先蹴りでボールをゴールへと押し込んだ。
空中で胸トラップして、そのままシュートまで持っていけちゃうフィジカルがすげー。ほんとこの人には驚かされてばかりだ。
(Apr. 1, 2025)